焔と預言の世界の行く末

・・・そもそもを言うなら、前の時でもそうだがファブレ襲撃の前ほどからティアは神託の盾としての任務をしていなかった。そのままヴァンを襲いルークと旅を始めることになってから、一度ヴァンを倒すまでに神託の盾という枠組みの中で活動していなかった。

この期間は軽く考えても数ヶ月で、しかもダアトというか神託の盾の本部の方に連絡もろくにしていない・・・普通に考えればそこまで所属していた団体と離れていたら、クビを切られていても全くおかしくなかった。そうならなかったのはヴァンを倒した功績もあったが、何よりイオンがその時は味方と言ってもいい時だった。

しかし今回は違った・・・前の時から逆行していたということもあるが、アドリビトムの面々との度重なる衝突によりルークもそうだがイオン達とも程度の差はあれ以前とは比べ物にならないくらいに心象が悪くなってしまった。

その上で自分の望みについてを上に掛け合い、それがダメならと他国にまで勝手に神託の盾の仕事を放っておいて自分の為にと動いたティアの事をまともな上の人間が配下として大丈夫だ・・・などと認める方がおかしいと言えるだろう。



「えぇ・・・ただそうしてティアが帰ってきたならと一応は体勢を整えて待っていたのですが、半年も経って全く帰るどころか音沙汰一つない事からもう勝手にという形でではありますが、彼女はもう神託の盾から除籍してあります」
「まぁ一々彼女が戻ってからなどという冗長な事をする理由もありませんし、半年も顔を出さないとなればそれくらいは当然でしょうね」
「それは理屈としては分かるんですが・・・だからこそ分からないこととしては、何故ティアの音沙汰が無いのかなんです。彼女はルークの事を諦められないなら、僕達に何度も何度も一緒に探すようにと言うと思ったのですが・・・」
「考えられる可能性としては、どこかで死んでしまったが一番有り得る可能性でしょうね」
「やはり貴方もそう考えますか・・・」
更に続けてティアについてを話していく中でイオンの疑問の声にジェイドはあっさり死んだのではと口にし、本人も敢えて口にしなかったと苦く漏らす。
「ただそうなると疑問が残るんです・・・彼女は後衛ではあってもある程度は戦えるだけの実力は備えてはいるはずですし、かといってルークの事が協力を得られなかったからというだけで自殺だとかそういった事を考えるようなタイプではなかったと思いましたし・・・」
「まぁ自殺と縁遠いタイプであったのは確かですね。散々打ちのめされても何度も立ち上がってきた様子から察するに・・・となればやはり彼女は誰かに殺されたといった所でしょうが、今となってはもう誰も知るよしもありません。バチカルから行方が分からなくなったとなれば陸路でベルケンドに向かえる途中にあるイニスタ湿原にはベヒモスという強力な魔物がいると聞きますし、イオン様がおっしゃられた逆の事を申し上げるなら戦えはしても所詮彼女は後衛です・・・彼女がどれだけ戦えたのかについてを思い出す限りではですが、一対一の戦いでも多少腕の立つ前衛なら彼女を倒すのは容易いと思いますよ」
「・・・そう聞くと、改めて感じてしまいますね・・・ティアが何らかあって死んでしまったのではないかということを・・・」
ただとティアがそんな簡単に死ぬわけはないといったようにイオンは口にするが、ジェイドがそんなことはないと状況もそうだがティア自身の腕の無さについてを述べた事に重く納得してしまう。ティアが死ぬ材料は案外少なくなかったと。









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