焔と預言の世界の行く末

(・・・いかんな、アニスの事ばかりを考えすぎても・・・今はジェイドが出来るだけ早く帰ってくることを待つのみだ。どうせ今頃はバチカルで早く帰りたいと思っているだけだろうがな)
そんなアニスについてを考えるのを一先ず止め、ピオニーはバチカルにいるジェイドに意識を向ける。表面上は丁寧な態度を見せるが、内心はやる気のないだろう友の事に。









(ふぅ・・・ここに来る前の想像以上にめんどくさいですね。やはりというべきか、私と顔を合わせて露骨に表情を歪めたアッシュの姿に成長が見られませんでしたし)
・・・そして場所は変わり、バチカルの城の中にある大勢の人が集まれる広間。
パーティー会場として豪華絢爛に彩られた場の中、壁を背にして先程のアッシュとのやり取りを思い出しながら顔を隠すようにグラスを傾けそっと遠くで不機嫌そうなアッシュに視線を向ける。



・・・元々ジェイドはバチカルに来たくて来たわけではない。ただピオニーからの命令であり、バチカルに何度も足を運んだことから役割として最適であると見られたからである。

そんなものだからやる気など欠片もないままにバチカルに来たジェイドだが、それでも承った任務は任務とインゴベルトを始めとしたキムラスカの代表達にちゃんと挨拶をしていった・・・のだが、アッシュと視線が会った時に隠すことをせずに露骨に顔をしかめられた時には、ジェイドも表情を歪めそうになった。流石にそこはアッシュと違い、仮面のような笑みを張り付けて何事もないように済ませたが。



(・・・変わらないと言うか、変わろうと考えてすらいないのでしょうか?自分が今のままでいいと思っているのか、誰かの意見など聞く必要はないと思っているのか・・・はたまた、私が来たからルークの事を思い出した?・・・いえ、思い出すも何も3年前からアッシュはルークに対して一時も恨みを忘れられずにいたといった様子でしたからね。それはありませんか)
それでジェイドはその姿にどうしてこうなったのかと考えていく中でルークを思い出したからかと考えるが、すぐに違うと結論付ける。



・・・ちなみにジェイドがアッシュをアッシュと内心だけでも呼んでいるのは、別にピオニーのようにルークの方が断然に気に入っているからとかそういう理由ではない。単純にルークとアッシュの呼び分けをするためだ。

今回ルークに色々とさらけ出す事が無かった為にジェイドにはルークに対する思い入れは然程ないが、だからと言ってアッシュを『ルーク』と言ってしまえばルークをどう呼べばいいか分からなくなる・・・その程度の物だ。

だからこそ以前と違ってジェイドはフラットな視点で二人についてを見ることが出来ているのだが、いないルークの事は想像する意味がないにしても今目の前にいるアッシュには呆れるしかなかった・・・まるで成長の様子が見えないといったその様子に。



(あの様子ではナタリアも苦労するというか、苦労しているのでしょうが・・・あの姿にまだ引け目というか、未だにアッシュに惹かれているというのでしょうか・・・だとしたら私には到底理解出来ませんね、彼女の気持ちなど)
そしてアッシュから視線を外して少し離れたナタリアの姿を視認しながら呆れと哀れみが混ざった感情をジェイドは抱く。









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