焔と預言の世界の行く末

・・・ルークが姿を消し、アドリビトムの面々がダイクロフトを海の中に沈ませた後にルミナシアに戻って三年が経った・・・









(・・・あれから三年か・・・早いものだな・・・)
・・・グランコクマの謁見の間にて、玉座に座りながらピオニーは手元にある手紙を見ながら時の流れについてを考える。
(今頃ジェイドはバチカルだろうが・・・あいつは行きたくないと言ってはいたが、適任はあいつ以外にいなかったからな・・・)
その中でピオニーは更にジェイドがバチカルにいるだろうと考えるが、自身もあまり愉快とは言えないように考えを巡らせる。



・・・現在ピオニーが手にしている手紙。これはバチカルより送られてきた物である。中身は『ルーク』・・・いや、ピオニーにとっては今もアッシュであるためにアッシュと人がいないところでは言っているが、アッシュが二十歳になった祝いの場にマルクトからも来てほしいという物である。

この手紙が来た事にピオニーはあまりいい気持ちにならなかったどころか、むしろ気分が落ち込んでいくのを感じていた。理由としてはアッシュの評判があまり良くないと察することが出来るからである。

三年前からアッシュの性格に考え方に関しては知っていたピオニーだが、戦争をしなくなったこともあり度々キムラスカと情報の交換をするようになっていった。その中でアッシュについても文面で聞いたりしてきたのだが、あまり芳しくない様子がピオニーからは見て取れたのだ。

勿論キムラスカ側は直接的にアッシュの事を悪く言うような事は書いてはいない。流石に様々な体裁だとかがあるために。しかしピオニーも皇帝として、王族としてそう言った体裁を気にした表現がどういった物かに事実を指し示しているかは察することが出切る。

一つ例を挙げるなら、アッシュが旅から帰ってきて記憶が戻ってから貴族として次期王に相応しいと美辞麗句ばかりを並べ立てるような文ばかりという中身だ。勿論他国の人間に身内の恥を晒すようなことは望ましくないと、ある程度の脚色をすることは良くあることだ。

だがその違和感については経験でピオニーは分かるし、何よりアッシュの事を何度も見てきたのだ。そのアッシュがキムラスカに戻っただけで借りてきた猫のように大人しくする、または本当の居場所に戻ってこれたから貴族らしい毅然とした態度を取るようになる・・・なんて有り得るはずがないとピオニーは見ていた。これは明らかに嘘であると。



(・・・まぁキムラスカ側としては色々と隠したいという気持ちは分からんでもないがな。折角記憶を持って帰ってきた『ルーク』の筈なのに、行動としてはやたらと荒っぽくなるばかりか暴言ばかりを吐くようになっていたとなれば体面の為にも外部には隠したくもなれだろう・・・そして事実を知っているインゴベルト陛下にファブレ公爵は今頃切実に感じているだろうな。アッシュではなく、ルークがいてくれた方が良かったと・・・)
ピオニーはキムラスカがいかにアッシュの事についてを隠したいかと実態も併せて考える内に、インゴベルト達に同情めいた気持ちを浮かべる。アッシュの真実を知った上でその面倒を見なければならないという事実に。









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