終幕は怒りと共に引く

「まぁ俺もそう思っているが、ジュディスにジーニアス達も活動出来る環境があったのが有り難かったと思っているだろう。何せルミナシアと違いオールドラントに種族はヒューマンしかいなかったからな・・・その点では少数とはいえ時たまガジュマにエルフやクリティア族を出してくれたことは有り難かった」
「えぇ、そうね。私達もサポートで動いては来たけれど、ローレライが動いてくれなかったらそれこそ私達は人前に出ることすら出来なかったかもしれないもの」
それでユージーンが種族の事についてを嬉しそうに口にしたことに、リフィルもまた微笑を浮かべて同意する。









・・・ゼロの物を1にすることは紙面上の計算の上では容易に出来るが、現実では無いものを作り出すことはそう容易ではない。それが命あるものであれば尚更だ。

ルークがいなくなった経緯を知ってオールドラントに行くことを決めたアドリビトムのメンバーではあるが、そこで問題になったのがヒューマン以外の種族がオールドラントにいないことだ。

その為に当初はヒューマン以外の種族のメンバーは居残り組に入るようにというような流れになるかに思われたが、そこに関して笑顔ではあったが自分は行くと譲る様子など全く見せる様子もなかったジュディスがいたことで、ならば向こうの我にも手伝わせるとルミナシアのローレライが言ったことからオールドラントにヒューマン以外の種族が現れた理由である。

そしてどうオールドラントのローレライが動いたのかと言えば、各種族の擬似的なレプリカを時折世間の目に触れるように送り出すという行為だ。ただそんな風に言いはするが本当にフォミクリーを用いてのレプリカではなく、ローレライが各地のセフィロトに流れる第七音素を利用して自分の意志を作り出した種族の体に分身として宿らせ、そして各地に向かわせ適当な時間になったら退散させ自分の身にまたその第七音素を戻す・・・と言うものである。



・・・こういった回りくどいやり方を取るのは、アドリビトムのメンバーに活動してもらう為の準備をすると共に全てが終わって以降、各種族がいなくなっても不思議ではない状況を作り出す為だ。

他種族の本拠地はどこの誰も知らない状態。そんな中でダイクロフトが海に沈んでいったのを境目に、誰も他種族の姿を見ることが無くなっていった・・・となれば少なからずは出てくることになるだろう。もしや他種族がいなくなったのは元々のダイクロフトの住民は彼らで、全員ダイクロフトに戻ることにしたからなのではといった中身の推測が。

そんな状況では実際の理由に辿り着けるような者などまずいないだろうし、証拠も揃えようがない。何せダイクロフトはもう海の中に姿を隠すことになる上、遠い未来でダイクロフトの中にどうにか入ることが出来るような技術を確立出来たとして突入した所でもうもぬけの殻なのだ。ダイクロフトの中は。

そういった状態になるのだから、ダイクロフトの住民についてもそうだが他種族の行方というものはもう誰にも分からなくなり、後は推測するしかなくなるが何も誰も証拠がないとなって他種族の姿が以降も見られないとなれば・・・自然と後は他種族の者達はダイクロフトの住民だからいなくなった、という結論になるのである。答えの見つからない物についていくら論じても無駄なら、これが正しいだろうという仮説を擁して結論を出すという。









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