終幕は怒りと共に引く

『・・・話が長くなりましたが言うべき事は言い終えた為、そろそろこのダイクロフトを海に沈めます。そして願わくば、再びダイクロフトが空に浮かぶような事が無いことを・・・』
「っ・・・ダイクロフトと、浮かんだ大地が・・・下の方に動き出してる・・・と言うことは本当に、ダイクロフトは海の中に・・・」
そしてこれが最後といったようにリフィルが海にと言うと、人々はダイクロフトが徐々に降下を始めていく様子に嘘ではないと確認しつつその光景をじっと眺めていく。創世歴時代から空高く浮かび上がり今まで謎だった存在の役目を知ったものの、その役目を一旦か永遠にかはともかくとしても終える瞬間を見届けようと・・・



「・・・ふぅ」
「ご苦労だった、リフィル」
「いえ、表向きの活動は貴方達が行ってきたんですもの。これくらいは構わなくてよ」
・・・そんな風に人々から見られてる一方、ダイクロフトの中では話をし終わったリフィルに対する労いの言葉がかけられていた。
「これで後は俺達がルミナシアに戻れば全てが終わる訳だな・・・」
「そうですね。まぁあれだけ煽るような事を言っといてなんですが、もし何かあってもダイクロフトは復活しないと知れば皆さんはどう思うんでしょうか?」
「結果が予想出来ているだろうことをさも疑問だというように言うな、ジェイ。と言うよりはそもそも俺達がいなくなった後の戦争への気運の向上や、預言に音素が使える環境を求める行動の抑止力としてベルクラントを用いると決めたんだ。例え畏怖の対象と見られようとだ」
「分かっていますよ、ユージーンさん。まずベルクラントの威力を知ってしまえば普通の人々は尻込みするのは間違いありませんし、例えアルビオールに乗ってこちらに来ようと予定を立てたとしても流石に海の底ではどうしようもないとなりますからね」
そこでユージーンが感慨深そうに声を上げた事にジェイがわざとらしいことを言い、ダイクロフトとベルクラントを用いた理由に話は移る。



・・・そう。何もダイクロフトを用いると決めたのはプラネットストームが無くても空に浮かぶことが出来るからと言うだけではなく、本当の目的はベルクラントによる恐怖を人々に植え付けることだったのだ。元々ダイクロフトに備え付けられていたベルクラントの特性を利用する形で。そしてそれは以前ルークがクレスより聞いたアドリビトムのメンバーの本当の狙いだった。

預言の影響とその根深さがいかに酷いものか、それを聞いたアドリビトムの面々はニアタにローレライと一緒にどう事態に向き合うべきかを考えた。前の時は様々な偶然だったりもが重なった上でどうにかなったが、そんな偶然に頼らないこともそうだがそれならどのようにして危険な事態になるようなことを抑止していくかを。

何せアドリビトムのメンバーはルミナシアに戻らなければならず、ルークを助けるのが第一目標とは言えそれを済ませたらオールドラントが滅びても構わないなんて思うような人物はいないのだ。
故にどうにかして預言だったりプラネットストームの復活を望む者達を抑制するための方法を考えてきたのだが、そこでニアタから出てきたのがダイクロフトにベルクラントを用いるというやり方である。先程リフィルが言ったような中身をベルクラントの驚異を見せ付けてからちらつかせ、いかに二つの事柄について復活を望もうにもそれに二の足三の足を踏むような事態にさせてしまおうと。









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