終幕は怒りと共に引く

『今ある平和・・・これを維持する事は難しいことでしょう。預言による戦争を回避出来たとは言え、人は争う生き物になります。ですが例え預言による戦争を回避したと言っても、まだオールドラントが非常に危険な状態であることに変わりはありません。まず一つは預言による戦争は何とか避けられはしたものの、キムラスカにマルクトの両国の間柄については国の上層部では話はついてはいてもまだ人々の間では相手が憎いといった気持ちを消化しきれていないということ。もう一つは何らかの間違いが起こされるなりなんなりがあり、何者かの手により再びプラネットストームが起動されることです・・・前者については両国の首脳間に人々がどのように動くかにかかる部分があるためにまだある程度は致し方ない部分も出てくるでしょうが、それこそどちらかの国が滅びる規模の戦争が再び起こりかねないとなれば預言に詠まれた中身のような事が起こることも考えられない訳ではありません。例え預言に詠まれた勝敗が逆になったとしても、そこまで言ったなら預言など関係無いと恨みを晴らしにかかろうとする形でです』
「っ・・・!」
リフィルがそこから危険性の高い可能性を挙げてまずはと預言に詠まれてない戦争が起きた場合の事を告げると、人々は言葉を失う。どちらが勝っても危険は残る・・・だからこそ戦争に勝ったとしても誰かの手により滅びるリスクがあるのだと聞かされて。
『また、もう一つのプラネットストームの起動についてですがこれは一朝一夕に行えることではないでしょう。プラネットストームを動かすようにと構成されていた譜陣はもうローレライ達により意味を為さなくなり、簡単には復活は出来ないでしょうが・・・万が一それが出来てしまった場合もそうですが、元通りの形ではなく妙な形で再起動・・・考える中で最も最悪な状態を例として挙げるなら、プラネットストームとしての形を為してないばかりか障気までもが復活して障気を止めようも無くなるといった形です』
「っ!?」
更にそこでプラネットストームの起動についての最悪の可能性を聞かされた人々はより驚愕し、顔色を悪くする。障気がどうにも出来ない=世界の終わり・・・そう捉える事しか出来ない事態の為に。
『そのような事態は我々としても望むつもりはありませんが、かといって黙ってその状況を看過すると言う訳にもいきません。もし預言に近いような状態になれば預言に詠まれた未来をどうにかした意味も薄くなりますし、障気が復活してその驚異が増したなら例えダイクロフトでまた空高く浮かび上がりその影響を避けようにも、いずれこのダイクロフトの高さまで障気の影響が及ぶ可能性も十分に有り得るでしょう・・・もしそういった事態になり得ると言うのであれば、我々はダイクロフトを再び空に浮かばせベルクラントを用いる事を躊躇いません。戦争になれば戦場を陣営など関係無く撃ち、プラネットストームが再びどのような形でも動けば二度と動き出すことがないように破壊します・・・例え恐怖の対象となり、数多の命を奪うような事態となろうとも』
「っ・・・」
そんな事になるくらいなら自分達の手でどのように言われ、どんな結果になろうがベルクラントを用いる・・・リフィルの決意の固さを滲ませる声に、人々は黙るしかなかったがその表情は悲嘆に暮れるような物ではなかった。むしろリフィルの声に伴われた決意を掬いとって覚悟を決めたような、そういった物と見えるような物だと端から見れば思える物だという表情に見えた。









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