終幕は怒りと共に引く

・・・そんなジュディスは少し離れた場所にあった装置の元に辿り着き、ダイクロフトへと戻る。



「・・・戻りましたね、ジュディスさん。ティアはどうなりましたか?」
「えぇ、色々とお話をしたんだけれどこちらに攻撃を仕掛けてきたから少し攻撃させてもらったわ。痛い目を見させたことは少しは悪く思うけれど、彼女の必死さを考えると下手に手を抜いたらこちらがやられてしまいかけなかったもの」
「・・・そうですか。後は仕上げに入るだけですので、ジュディスさんはゆっくりしていてください」
「そう、ありがとう」
装置から出た所で待っていたのはジェイでジュディスは軽く会話を交わした後に笑顔で場を後にするのだが、その姿を見ながらジェイはそっと呟く。
「・・・彼女から血の匂いがした・・・おそらくティアと戦闘した時に彼女に傷を負わせでもしたのでしょうが、単純に反撃程度で収めたにしては結構血の匂いが強い・・・もしや・・・」
・・・アドリビトムのメンバーには話してはいないが、育ってきた環境から身体能力もそうだが五感の感覚も鋭敏なジェイはジュディスにまとわりつく血の匂いが強いと言うことを感じていた。巧みに隠そうとしてきた事は分かるが、それでもジェイの感覚には強い血の匂いが染み付いていると分かるほどに。
故にジェイはジュディスの言葉についてティアがどうなったのかの予想を立てるが、途端に首を横に振る。
「・・・ま、僕もそうですが他の方々にももうこちらのティアの事は関係無いことです。それに絶対と言うわけではありませんがジュディスさんが嘘をついたとは思いませんし、下手にその時の事を掘り下げてもいいことなどないでしょうからね。この事は指摘しないでおきますか・・・」
・・・ジェイの中では何がジュディスとティアの間であったのかについては大方の想像はついた。だが聡明である彼はそれを口にした場合が面倒になることも感じていた。
だからこそ下手な追求をしないようにしようと決めたジェイはその場を後にしていく。ティアの事ももう気にすることはないようにするという形で・・・









「・・・ジェイ、ジュディスが戻ってきたのか?」
「えぇ、ですので仕上げにかかってください」
「あぁ、分かった」
・・・それでジェイが来たのは他の部屋にはない機械が多く存在している部屋。そこにはユージーンにウィルにリフィルにリーガルと、アドリビトム内で年長者の部類に入る四人がいた。
その中でユージーンがジェイの来訪に気付き、言葉少なげに仕上げと言ったことに頷いて機械のモニターへと向かい操作をしていく。









『聞こえますか?私はダイクロフトに住まう者です』
「な、なんだ?いきなり大きな声が・・・って、ダイクロフトだって・・・!?」
・・・その少し後に世界各地に響かせるような音量でリフィルの声が響き、どこの街にいる誰かなど関係無く一斉にダイクロフトの方に視線を集中させる。いきなり何が起きたのか、そしてどういうことなのか・・・次に出てくる言葉を待つように静止する形で。









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