表向きの終幕、裏で起こる奔走

(・・・やはりと言うべきか、こういった行動に出てきたな。対策を取っていたのは間違いではなかったということだが・・・次にティアが取ってくる行動は・・・)
ローレライは心中で成功としつつ、次に何が起きるかについて意識を向ける。
「・・・こうなったら仕方無い・・・力付くでも私に従ってもらうわ・・・!」
(やはり、か・・・)
それでティアは吹っ切ったとばかりに杖を構え実力行使に出ようとするが、ローレライは予想通りと内心で呆れる。
「ハッ・・・っ!?」
『・・・読めているぞ、その程度』
「な、なんで・・・!?」
『我が全く戦えぬと思ったか?・・・まぁ物理的な攻撃は出来ぬが、そなたらの言う譜術や譜歌なら使えるしこうして動ける以上は簡単な攻撃を避けることくらいは出来る。そなたの大して鋭くもない攻撃を容易にかわすくらいはな』
「・・・っ!」
すぐさま杖で殴りかかるティアだがあっさり後ろに退くよう避けてしまうローレライに意外そうな様子を浮かべる中、ローレライからの事実の暴露にまさかと目を見開く。ローレライも全く戦えない訳ではないと知って。
(まぁそれもルーク級とは言わずとも、アドリビトムの前衛のメンバーに接近されれば抵抗は難しいし、第七音素もプラネットストームが循環してない状況で術を使うには、我の身を削るようにして第七音素を抽出せねばならぬが・・・一々それを目の前のティアに言うつもりもないし、実力が足りんのは紛れもない事実だからな)
ただその中でローレライも馬鹿正直に全てを言うはずはないと、ティアに対する嘲りも含め考える。



(まさか・・・ローレライが戦えただなんて・・・!)
一方でティアはまさかの事実を知ったこともだがその実力が明らかに自分より上だと知り、焦りを盛大に浮かばせる。どうすればいいのかと。
『・・・さて、こういった行動に出られたからにはこちらも遠慮はしない・・・と言いたいところだが、もうそなたに関わる理由は我にはない。命は助けてやろう、さらばだ』
「え・・・えっ・・・!?」
だがそんな焦りの中でローレライが取った行動は戦うのではなく・・・捨て台詞を残しての一気に音譜帯への上昇で、いきなりのその光景にティアは反応が遅れてしまいたまらず手を伸ばしたが最早手の届く距離ではないどころか、目視すら出来ない程に遠く離れてしまっていた。
「・・・まさか・・・もう、これでローレライとは会えなくなったの・・・!?」
その姿を呆然としたように見ていたティアは次第にジワジワと今の状況がどういうものになったのかを理解し、戦慄した。これで過去に戻るための唯一の手段が無くなったということに。
「・・・じょ、冗談じゃないわ!こんな結果になるだなんて、認められるはずがないわ・・・もう、もう過去にも戻れないなんて・・・!」
そして今までにない焦燥の念が溢れだして止まらなくなる・・・ダメならやり直せばいい。過去に戻りまたダメなら最後の手段としてもう一度同じことをすればいい。そう思っていたのにもうそれが出来ない・・・その事実に直面したことにより。
「・・・見苦しいわね」
「えっ・・・っ、貴女は・・・!?」
そんなティアの背後から声が聞こえてきたことに慌てて振り返ると、そこには・・・ジュディスの姿があった。ダイクロフトに登っていなくなった筈のジュディスの姿が。


















・・・終末の道は決まっていく



一人取り残された女は知ることになる



残酷な末路がてぐすねを引いて待っていることを



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