表向きの終幕、裏で起こる奔走

「・・・そう言うことだ。もうルークは我々の手の届かぬ所にいて、そなたらと顔を合わせるようなつもりも一切ない。だからもう諦めろ、それがこちらから言える最後の言葉だ」
「っ・・・!」
「待ってください!でしたらアルビオールを・・・アルビオールを貸してください、陛下!」
「・・・アルビオール、だと?」
インゴベルトはそのままルークに関して諦めるように言うとアッシュは悔しげに歯を噛むが、諦めきれないとアルビオールの貸し出しを願うティアに怪訝そうな表情を浮かべる。
「・・・そのアルビオールとは何だ?」
「え・・・へ、陛下は知らないんですか?シェリダンで作られてる創世歴時代の音機関を用いた、空を飛ぶ譜業の事を・・・」
「・・・その計画に関しては知っている。だが何故その計画もそうだが、その譜業の名前を知っておるのだ?シェリダンに寄ったかどうかは詳しく聞いておらんから分からんが、その譜業の名前まで知っている程にシェリダンで情報を集めていたのか?」
「っ!?」
「そう言えば、確かに・・・ティアがシェリダンにそれほどいたような記憶はありませんし・・・そもそも私達もそうですが、ダイクロフトの方々もそんな物が作られているだなんて話を詳細に聞いた記憶もありませんわ・・・」
だがインゴベルトが何の事か知らないといった様子にティアはすぐさま説明するが、アルビオールとそれを作る計画を何故知っているかと聞かれて驚愕する様子にナタリアも思い出すようにしながら納得する。ティアがそんなシェリダンで情報を集めていたとも、他の面々もそこまで知っていたとも思えないと。
「・・・どうしてそんなことを知っているのか、気になるところではある。だがあえてそれを無視して言わせてもらうが、アルビオールとやらを貸し出すような許可を出すつもりはないしましてやアッシュ・・・そなたもどう言おうとも、使わせるつもりはない」
「なっ・・・!」
「ダイクロフトの者達がもう表舞台に姿を見せないとなった以上、ダイクロフトに向かいたいというなら現状ではそのアルビオールとやらを頼る以外にないだろう・・・ここでティア=グランツだけにそれを許可しないと言ったなら、今のそなたを見る限り一も二もなくシェリダンに向かうだろうと思ったから言わせてもらった・・・絶対に使わせる気はないとな」
「・・・っ!」
インゴベルトはそんな中身についてを気にしないとした上でティアだけではなくいきなりアッシュを対象にして許可しないと言い切り、とりつくシマのない様子にアッシュはそっと歯噛みして拳を握る・・・話を聞いてルークの元に殴り込みにいけると、そう少なからず考えを浮かべていたことが分かるように。
「・・・と言うわけだ。わしからは許可は出さぬし、開発がどれだけ進んでいるのかは知らぬが使わせぬようにとの達しはこの後に出すようにする・・・ただそれでもシェリダンに向かいアルビオールとやらを無理矢理にでも使おうと、技術者達を脅しにかかるようなことをされても技術者達が困るだろうからな。もしそのようなことをしたなら事後報告の形になりダアトとも多少は気まずくはなるだろうが、シェリダンの兵達を総動員してそなたを殺すことも視野に入れて捕縛させるように指示はさせてもらう」
「なっ・・・!?」
「不満しかないといった様子だが、ここまで来てあえて直接そなたを捕らえず済ませているだけ温情だと思え。そもそもそなたは他国の人間であるし、我々に指図出来るような立場にはいない・・・それでも不満を一言でも申すと言うなら、即刻今ここで捕らえるぞ」
「っ!・・・そんな・・・」
そして改めてティアに対しての対策及びそれ以上の反論封じの言葉を痛烈に浴びせるインゴベルトに、さしものティアも流石にそれ以上は何も言えずに呆然とする。協力など絶対にしないという鮮烈でいて力強い拒絶を前にしてしまい。









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