表向きの終幕、裏で起こる奔走

「おい、どうした?」
「・・・ちなみにそのブライアンって人が消えた理由は分かるかしら・・・?」
「そこまでは聞いちゃいねぇって言うか、アスターさんにブライアン様がいなくなった理由を聞こうとした奴もいるらしいが答えは返されなかったらしいぞ。別にアスターさんは悪い人って訳じゃないが、ブライアンさんが担当していた交易関係の利権やらを丸々と受け継いだって話でアスターさんは得したらしいから、あの人はそういった恩があるから話はしないとか聞いたからな」
「そう・・・(アスターさんを無理矢理吐かせる、なんてことは流石に出来ないわね・・・彼はダアトにとっても重要人物なのだし・・・)」
そんな姿に声をかけてきた男に気を取り直しつつティアは理由を尋ねるが、アスターからは話は聞けないだろうと返されて内心で物騒な事を考えつつも行動には移せないと考える。
「そう言うわけだからブライアン様については他も似たようなもんで、誰に聞いても同じような答えが返ってくるだろう。だから理由を知りたいなんて聞き回っても意味がないと思うぜ」
「そう・・・ありがとう、話を聞かせてくれて」
もう一人の男が他に聞いても似たような物だと言うと、ティアは礼を言ってその場から立ち去る。
(正直、ブライアンって人があの人達とどういう関係にあるか気にはなる・・・けれど理由が分からないのなら、必要以上に理由を気にして時間を無駄にしたくはない・・・例え彼らの仲間だとしても、今となってはそんなことを気にしている暇はないわ・・・!)
そのまま歩きつつ、気持ちをさっさと切り替えんとティアはリーガルへの思考を放棄する。最優先はリーガルではなくルークという考えが根底にあるが為に・・・


















・・・そうしてティアは船に乗り、ケセドニアでの出来事を通過点で起きた物と考えていく形で落ち着かせた。それでティアを乗せた船はバチカルに辿り着く・・・



「・・・ダメだ。ピオニー陛下からの手紙が届いたからというだけではないが、ルークはキムラスカでも行方は追わんと決めている」
「そんな・・・!」
・・・謁見の間にて、インゴベルトとの謁見に成功したティア。だが用向きを伝えれば返ってきたのは当然とばかりのインゴベルトの拒否で、ティアは何故とばかりに声を漏らす。
「・・・はるばるダアトからグランコクマにこのバチカルと、ルークを探すために旅をして来たその執念は認めてやろう。だがそなたの望む通りにルークを探しだし、キムラスカに戻すことが幸せになるなどと本気で思っているのか?・・・今この場だからこそアッシュと言うが、アッシュに果てなく罵られて敵と見られるような事になってもだ」
「っ・・・それは、ルークもそうですが陛下達にも尽力していただいて・・・」
「・・・そこで自分がどうあっても力を尽くすといった言葉が出てこず、当人に他人任せの言葉が出てくる・・・あまりにもそなたにとって都合のいい言葉だな、ティア=グランツよ」
「っ!?・・・それは、その・・・」
その姿に皮肉めいた労いからルークを探した後の事を口にするインゴベルトにティアはとっさに返しはするが、その中身に厳しい言葉で切り返された事にたまらず口ごもる。この期に及んでアッシュとの仲を取り持つことを嫌ったその本音とも言える言葉を取り上げられ、人任せにしてくる事についての是非を問われて。









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