表向きの終幕、裏で起こる奔走

「陛下・・・いつそのような会話をルークとしていたのですか?」
「ガイにアニスの二人に別れを告げに一人でここに来たことがあって、その時に二人で話をさせてもらった。本来ならその時の事は俺の中にだけで収めるつもりだったがな」
(ルークと陛下がそんなことをって言うか、二人に別れを告げに来てた・・・どう言うことよ、それ・・・!?)
話を聞いていたジェイドはどういうことかと聞くとピオニーは一連の流れについて明かすが、ティアはその中身に内心で混乱する。ルークがそんなことをしていると知らなかったこともあるが、それ以上にルークがそんなことをするとは思えないといった考えがあった為に。
「だが事ここに進んでティアがここまで来たとあれば、マルクトの皇帝としてと言うよりは俺個人として言わせてもらうが・・・もう諦めろ。お前がルークの事を本当に男として求めているかどうかはともかくとしても、その執拗な態度を見れば見るほどにルークが見つかった場合ルークが不憫になる姿しか俺には見えん。そんなことにさせんためにも私情と言われようが俺はマルクトを動かすつもりはないし、後にキムラスカやケセドニアにもそうしないようにとの要請の手紙を送らせてもらう」
「なっ・・・!?」
「と言うわけで俺の言いたいことはこれで終わりだ。どうしても諦めきれんと言うなら自分の足でキムラスカにケセドニアまで行って代表を説得してみろ・・・お前の言葉が俺の言葉を上回れば、もしかするかもしれんという期待でも背負ってな」
「・・・っ!」
しかしそんな動揺に対して優しくするのではなくむしろ突き放す気しかないように協力しないどころか邪魔さえするとハッキリ薄ら笑いを浮かべて公言するピオニーに、ティアは唖然とした。じっくり物事を考える事が出来ないこともあるが、そこまでのピオニーの拒絶を受けて。



・・・それでティアはそれ以上はピオニーに何も望むことは出来ず、悔しげに謁見の間を後にしていった。
「・・・よろしいのですか?彼女を放っておいて」
「この場で捕らえる、もしくは殺せ・・・とでも言いたいのか、ジェイド?」
「ルークの安全を優先するのなら、その方が手っ取り早いでしょう。理由はいくらでも作ることは出来ますしね」
その姿が見えなくなった所でジェイドは平然とティアに対して物騒な事を口にするが、ピオニーは先程と違い疲れたように頭を抱える。
「・・・俺もそうした方がいいとは思った。だがルークの気持ちを踏まえてあえてあぁいう形にしてチャンスをやっただけだ」
「チャンス、ですか?」
「ルークはガイやアニスもそうだが、ティアの事も仲間だと思っていたようだった。異性として見るような事はないとは言っていたが、そっちの方は間違いないと俺は見ている・・・そう考えればティアに何かあれば結果がどうあれルークは悲しむと思い、あの程度で済ませてやったんだ。ルークを探す手段はほぼ失われたのだから、もう諦めてしまうようにとな」
「・・・私も彼らと結構な時間を共にしてきましたが、それでティアが諦めるとは到底思えませんよ」
「・・・分かってる、そうだろうということはな。だから俺はやれることをやるだけだ。ルークが見付からないようにするためにな・・・」
ピオニー自身も同意はするものの、ルークの事を思えばおいそれとそうするのは望ましいことではない・・・そうジェイドに返しつつも切に願うように声を漏らす。ルークがこれからも無事であるようにと・・・









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