表向きの終幕、裏で起こる奔走
「さて・・・先程のティアの様子で後を引きずってはいませんか?」
「・・・いきなりなんだ、テメェ・・・」
それで二人を前にして挑戦的に聞こえるような言い方で話し掛けるヒューバートに、アッシュは苛立ちを浮かべながら返す。
「いえ、今頃ティアは我々の事など気にせずルークさんの事を探したいと導師達に言っている事でしょう。ですが導師もそうですが、詠師の方々もそのような事を許可などまずしないでしょう。その上で言わせていただきますが、貴方がルークさんの事を探そうとしても無駄だと言っておきますよ。まず陛下達がそのような事は許可しないでしょうからね」
「っ・・・」
「反論出来ないというより、そうしようと少なからず考えていたようですね。ですがそれでもそうするというのであればティアと同等かもしくはそれ以下になりますよ」
「ぐっ・・・!」
ヒューバートはそこでルークを探そうとしないようにと言った上でティアの名を出すと、言葉を出すことを躊躇っていたアッシュがここで言葉を詰まらせた。最早ティアと同等以下という評価はアッシュにとっても不名誉以外の何物でしかないために。
「まぁこれからの事は僕達には関係ありません。どちらにせよ、貴殿方とはもうこれで終わりですからね。無駄なことはしないようにとだけは言っておきますよ・・・ではバチカル近くに装置は設置出来てますので、お送りしますよ」
「いらねぇよ・・・もう二度とテメェらの顔なんざ見たくねぇ。俺はさっさと行かせてもらうぞ、ナタリア」
「あっ、アッシュ・・・」
そんな姿に言いたいことは言い終わったから送ると丁寧に切り出すヒューバートに悪態をつきつつアッシュはさっさと装置に乗って消えてしまい、ナタリアはその姿に一歩出遅れたようになる。
「ちょっと待って。最後に一つ言わせてくれる、ナタリア?」
「えっ・・・なんでしょうか?」
「もうあんたがアッシュに強く言えないのは今更だからいいって言いたいけれど、だからってアッシュの言うことを自分が後ろめたさから鵜呑みにするしかないなんて事はしないでね。そんな風に尻込みしてたら周りの人間もそうだけど、あんたもアッシュに対して強く言えないもんだからアッシュが決めたことには誰も逆らえないし反対の意見は全部間違いだ・・・みたいな感じの独断政治になりかねないわよ。インゴベルト陛下達が今の地位から降りたり亡くなったりした後にね」
「っ!アッシュはそんなこと・・・」
「しないって思うのはあんたの自由よ。けれどアッシュにいつまでも一歩も二歩も何歩でも、身を引いたようなあんたじゃアッシュが悪い方向に行った時に制止する事なんて出来ない・・・それだけはちゃんと覚悟しておきなさいよ」
「っ!し、失礼します!」
続いてナタリアも行こうとした時にルーティが制止をかけてアッシュに対する接し方についてを言葉にするのだが、ナタリアは急いで装置に飛び乗りその場から姿を消す。
「・・・ねぇ、ユーリ。僕にはナタリアが逃げ出したようにしか思えないんだけど・・・」
「ようにじゃなくて逃げ出したでいいだろ。アッシュについての心構えを言われてそうしたくない、出来ないって感じたから何も答えたくないって形でな」
「そっか・・・好きな人に嫌われたくないからって、あれじゃ駄目だって僕も思うのにな・・・と言うかアッシュがナタリアの事をルーク程じゃないにしても嫌うとは思えないのに・・・」
そんな光景を見届けていなくなったナタリアに対してカロルが近くにいたユーリに問い掛けを向け、きっぱり逃げ出したと返されると何とも言いがたそうに表情を歪ませる。ナタリアの態度は酷いというか、臆病にも程がないかというように。
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「・・・いきなりなんだ、テメェ・・・」
それで二人を前にして挑戦的に聞こえるような言い方で話し掛けるヒューバートに、アッシュは苛立ちを浮かべながら返す。
「いえ、今頃ティアは我々の事など気にせずルークさんの事を探したいと導師達に言っている事でしょう。ですが導師もそうですが、詠師の方々もそのような事を許可などまずしないでしょう。その上で言わせていただきますが、貴方がルークさんの事を探そうとしても無駄だと言っておきますよ。まず陛下達がそのような事は許可しないでしょうからね」
「っ・・・」
「反論出来ないというより、そうしようと少なからず考えていたようですね。ですがそれでもそうするというのであればティアと同等かもしくはそれ以下になりますよ」
「ぐっ・・・!」
ヒューバートはそこでルークを探そうとしないようにと言った上でティアの名を出すと、言葉を出すことを躊躇っていたアッシュがここで言葉を詰まらせた。最早ティアと同等以下という評価はアッシュにとっても不名誉以外の何物でしかないために。
「まぁこれからの事は僕達には関係ありません。どちらにせよ、貴殿方とはもうこれで終わりですからね。無駄なことはしないようにとだけは言っておきますよ・・・ではバチカル近くに装置は設置出来てますので、お送りしますよ」
「いらねぇよ・・・もう二度とテメェらの顔なんざ見たくねぇ。俺はさっさと行かせてもらうぞ、ナタリア」
「あっ、アッシュ・・・」
そんな姿に言いたいことは言い終わったから送ると丁寧に切り出すヒューバートに悪態をつきつつアッシュはさっさと装置に乗って消えてしまい、ナタリアはその姿に一歩出遅れたようになる。
「ちょっと待って。最後に一つ言わせてくれる、ナタリア?」
「えっ・・・なんでしょうか?」
「もうあんたがアッシュに強く言えないのは今更だからいいって言いたいけれど、だからってアッシュの言うことを自分が後ろめたさから鵜呑みにするしかないなんて事はしないでね。そんな風に尻込みしてたら周りの人間もそうだけど、あんたもアッシュに対して強く言えないもんだからアッシュが決めたことには誰も逆らえないし反対の意見は全部間違いだ・・・みたいな感じの独断政治になりかねないわよ。インゴベルト陛下達が今の地位から降りたり亡くなったりした後にね」
「っ!アッシュはそんなこと・・・」
「しないって思うのはあんたの自由よ。けれどアッシュにいつまでも一歩も二歩も何歩でも、身を引いたようなあんたじゃアッシュが悪い方向に行った時に制止する事なんて出来ない・・・それだけはちゃんと覚悟しておきなさいよ」
「っ!し、失礼します!」
続いてナタリアも行こうとした時にルーティが制止をかけてアッシュに対する接し方についてを言葉にするのだが、ナタリアは急いで装置に飛び乗りその場から姿を消す。
「・・・ねぇ、ユーリ。僕にはナタリアが逃げ出したようにしか思えないんだけど・・・」
「ようにじゃなくて逃げ出したでいいだろ。アッシュについての心構えを言われてそうしたくない、出来ないって感じたから何も答えたくないって形でな」
「そっか・・・好きな人に嫌われたくないからって、あれじゃ駄目だって僕も思うのにな・・・と言うかアッシュがナタリアの事をルーク程じゃないにしても嫌うとは思えないのに・・・」
そんな光景を見届けていなくなったナタリアに対してカロルが近くにいたユーリに問い掛けを向け、きっぱり逃げ出したと返されると何とも言いがたそうに表情を歪ませる。ナタリアの態度は酷いというか、臆病にも程がないかというように。
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