分かたれた道の再度の交錯

「ルークさん・・・」
「・・・もう帰ってくれ。俺は協力なんて求めないから・・・」
アニーも辛そうにその名を呼ぶが、ルークは視線を背け精一杯に小さい声で拒否を示す。自分の為に動かないでくれと。
「・・・ジュディスさん?」
「・・・ルーク」
「ん・・・っ!?」
するとすずが怪訝そうな声を上げジュディスが自身の名を先程より近い位置で呼んだ事に顔を戻すと、ルークは驚きに顔を染め絶句した・・・何故ならジュディスが自身の身を優しく包み込むよう、抱き締めてきたのだから。
「ジ、ジュディス・・・何してんだよ・・・!?」
「・・・もういいわ、ルーク・・・貴方がそうやって私達を遠ざけようとする気持ちは分かった・・・けれどそれで貴方と離れるつもりはないわ、私達は」
「そ、それってこれからも俺に付いてくるって言うのか?・・・俺は皆の事を頼らないって言ったのに・・・」
「そうやって一人で抱え込むのは貴方の悪い癖よ?それに貴方が頼ってほしいかほしくないかじゃないの・・・私達が貴方の力になりたいの。今度こそ貴方の為にね」
「!!」
いきなりの抱擁に頬を染め慌てて何事かと聞くルークだが、ただ優しく気持ちを譲るつもりはないと耳元で話すジュディスに落ち着く以上に落ち込む気持ちで会話を交わす・・・が、ジュディスの揺るぐことない気持ちを受け驚きに身を震わせた。
「信じられないって反応ね・・・ならすず達の方を見て。誰も貴方の事を見捨てて戻ろうなんて思ってないから」
「・・・っ、皆・・・」
その反応にジュディスが笑顔で抱擁から肩を抱く形ですず達の方へと向き直させると、そこで皆が笑顔で頷く姿にルークは声を詰まらせながらもなんとか声を紡いだ。
「ここにいないクレス達もそうだし、他のメンバーにしてもそう・・・もう貴方が一人どこかに自分の事を犠牲にして行ってしまうことなんて望んでないわ。だからせめて今度は貴方といたいの。貴方が生きるためにもの世界を救うためにも・・・お願いよ、ルーク。私達も連れていって」
「っ・・・・・・正直、俺は皆を巻き込みたくない・・・これからはある程度前のように進めるけれど、それも途中まで・・・そこから先は下手をすると国を上げて俺の始末にかかってくるような事態になるかもしれないし、それこそアッシュ達と本気で敵対することも有り得るんだ・・・そんな状況でも、俺に付いていきたいって言うのか?」
「えぇそうよ」
「・・・そうか・・・」
そして両肩に手を置いて顔と顔を突き合わせる形にしたジュディスは真剣に思いの丈をありったけにぶつけ、ルークはそれでもと最悪の可能性が有り得ると何とか離そうとするが迷いのない返答を返されて下を向く。
「・・・なぁ、だったらせめて約束してくれ。これからの俺は皆の期待に沿えるような行動を取れるとは保証出来ない・・・だから俺に失望したりするような事があったら、すぐに離れてくれ。頼む」
「・・・それで貴方が納得して私達を連れていくというのならいいわ。けれどわざと私達を怒らせるような事はしないで・・・まだ貴方が今の演技をしている状態を止める気はないにしてもそのようなことはね」
「うん・・・まぁミュウの事もあるからしばらくは素を出すことはないと思うけど、それは分かった・・・これからよろしく、皆」
「えぇ、よろしく・・・ルーク」
少ししてようやくどうしても断れないと諦めがついたのだろう。せめてもの悪あがきとばかりに頭を上げてルークが条件を出すと、ジュディスも頷きつつ同じように条件を上げたことに了承を返し協力を受け入れると皆を見渡しながら告げた。その答えにジュディスの答えと共に皆は笑顔を浮かべながら頷いた。本心から嬉しそうに。











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