表向きの終幕、裏で起こる奔走

「何故です、イオン様!?どうしてそんな私が信じられないなんてこと・・・!」
「・・・ティア・・・貴女が僕に対して反意がないことに関しては信頼はしています・・・ですが貴女が今までに見せたルークへの激しい態度に言葉の数々は、とてもルークに対して優しく接するというか彼に安息が訪れるとはすみませんが思えません・・・」
「っ!」
たまらず何故と詰め寄るように問い掛けるティアだが、極めて言いにくそうにしながらもイオンがルークに対する行動は信頼出来ないと言ったことに更に衝撃を受けた。
「ちなみに聞くけれど、アッシュにナタリア。貴方達はイオンがこう言ったように言ったけれど、どう感じたかしら?」
「・・・ハッ。あの屑がどういった結果になろうがどうだって構わねぇが、今までのヴァンの妹の様子を見てあの屑に限らず相手が幸せになるなんて予想出来るわけねぇよ。むしろ誰が逆の事を考えるのか聞きてぇくらいだ」
「・・・私も、その・・・ティアの今までの様子を見る限りでは、とてもそうは思えません・・・今まで優しい言葉に態度をルークに向けた所など、見たことがありませんでしたし・・・」
「・・・っ!」
更に更に、ジュディスがアッシュとナタリアにもどうかと問うと両者共に揃って信用出来る筈がないと答える様子にティアは唖然とする。
「・・・何で・・・何でよ・・・」
「何で?何が何でなのかしら?」
「私がこんなに言われなきゃいけないことよ!!アッシュも言っていたけど、ルークがあんな風だったからいけないんじゃない!!私はあぁいった態度はいけないから私の言うようにしろって言ってただけなのに、何で私が責められなきゃいけないのよ!?」
「「「「・・・」」」」
そしてとうとう抑えきれなくなったとばかりに自分に対して厳しい意見を向けられることにティアは怒りを爆発させ、怒声を上げて周りを見るが誰も同意することもなかった・・・アドリビトムの面々は勿論だが冷めた表情のアッシュに苦い表情のナタリアも、果ては悲し気な様子を強めるイオンさえもだ。
「・・・もういいわ。とりあえず彼はもういないし、見付かるようなこともまずない。だから貴女を連れていく理由はないから、もう連れていかないわよ・・・いいわね?」
「いいわよ!貴方達に頼るような事なんかしたくないわ!」
「・・・そう。ならばアッシュにナタリア、少し早いけれど行きましょうか。あまりここにいても居心地は良くないでしょうしね」
「フン・・・まぁいいだろう。確かにここにいるよりはマシだろうからな」
「・・・私もそう思いますから、行きましょう・・・」
ジュディスはそこでもう連れていかない方にと話を進め、怒りのままに返すティアの返答を受けてアッシュとナタリアへともう行くと二人に話し掛けると、了承の返答が帰ってくる。



・・・それですぐにアドリビトムの面々とアッシュ達は教会の外へと出た。ティアがギラギラと隠しも遠慮もしない敵意の視線を向けているのを感じながら。
「・・・イオン様・・・」
「待て、ティア=グランツ。大方何を言いたいのかの察しはつくから言わせてもらうが、ダアトではルーク殿の行方を探すような事はせんぞ」
「詠師・・・!」
その姿を見届けた後にまるで鬼のように力強い視線を向けてイオンに話し掛けようとするティアだったが、横合いからイオンを守るようにトリトハイムが前に出て行動の制止にかかったことに最早取り繕う様子もなく苛立ちに歯を噛む。邪魔をするなとばかりに。









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