鬼の居ぬ間に

・・・そしてその空気のままにルークを残し、他のメンバー達は一斉に装置に乗ってラジエイトゲートに向かっていった。



「・・・ふぅ」
「いよう、ルーク君。もう行く準備は出来たかい?」
「ゼロス、それに皆・・・あぁ、もう大丈夫。考えは決まってるし、もう行かせてもらうよ。皆に後始末のような事をさせるのは申し訳無いけどさ・・・」
「いいっていいって。俺達もそう遠くない内に戻ることになるんだからさ」
そしてミュウと共に見送りを終えたルークの元にゼロスを先頭にダイクロフト待機組が現れ、もう演技の仮面を被ることなく普通に応対していく。
「ご、ご主人様・・・!?」
「・・・悪いな、ミュウ。さっきまだいれるみたいな感じに言ったけど、俺はここで皆と別れる。だからお前ともここでお別れだ」
「そんな・・・もっとご主人様といたいですの!」
「・・・本当にゴメンな、ミュウ・・・でもここしかないんだ。後で色々言われることになっても、俺がすんなりと離れることが出来る時は」
「みゅう・・・?」
ただ完全に素になったルークに戸惑うミュウを持ち上げ真剣に話をするのだが、流石にティア達が危ないから離れるとは言えないと言葉を濁す様子に理解が出来ずに首を傾げる。
「・・・とにかく、今ラジエイトゲートに行っている皆がやることをやり終えればもう俺達のやることは終わりだ。もう別れの時間は来たんだ、ミュウ・・・」
「・・・ご主人、様ぁ・・・!」
「・・・悪い、皆。ミュウの事も頼む」
「はいよ・・・んじゃ後は俺らに任せて下に降りよっか。設定した場所についちゃ黙っといてやるからさ」
「あぁ・・・ありがとう、皆」
それでもう時間が来たからと言うとミュウも覚悟はしていたために泣くだけで我慢し、ルークはそんなミュウをゼロスに預けウィンクを受けながら装置の方に向かう。
「・・・じゃあな」
そしてさりげにジェイが行き先設定を変えた装置の上に立ち、ゼロス達の方に向き直りルークは微笑を浮かべてその場から消え去る。ミュウの泣き顔にアドリビトムの面々の見送りを受けながら・・・



「・・・あ~・・・やっぱりミュウを泣かせることになってしまったな・・・覚悟はしてたけど、やっぱり後味がどうもな・・・」
・・・それでルークが降り立ったのは誰も何も見当たらない平原部だったが、どこかなど最早気にすることもなく自嘲的に声を漏らす。分かってはいてもやはりミュウを泣かせたことに対して。
『・・・別れは済ませたな、ルーク』
「ローレライ・・・そっちはいいのか?」
『うむ、まだプラネットストームを構成する譜陣の元には来ていないのでな。時間はまだある・・・とは言えあまり時間はないからすぐに始めよう。我が離れている今でなければその髪につけた第七音素をうまく扱うことは難しくなるからな』
「あぁ、わかった・・・!」
そんな時に頭の中に響くローレライの声にルークは答える中、ローレライの言葉に平然と対応する・・・そう、何もルークの髪についている第七音素の塊は髪が短くなったことを誤魔化すためだけの物ではない。本来であればローレライ直々にルークをルミナシアに送り予定だったのだが、アッシュの持つ鍵の方につくことになったために自身の第七音素を大量にルークに託し、その髪の毛に擬態させた第七音素を用いてルミナシアに送るエネルギーを託したのだ。









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