決意と決別の意識の差

「・・・多分ですけど、ジュディスさんはこちらに来て変わったのではないのでしょうか?」
「変わった?」
「はい。とは言っても他にも何人か変わった人もいます・・・例えばゼロスさんとか」
「ゼロス・・・あぁ、あいつならここに来る前ならルークの味方をするなんて表向きでも口にしなかっただろうね。でもそれが例え私達の目的がルークを手助けするためだって言ったって、ロイドにハッキリとナタリアにも理由はあるって言ったって聞いた時には驚いたよ」
少し間を空けて変わったのではとジュディスだけでなくゼロスも引き合いに出すすずに、しいなはあぁと思い出しつつも意外だったと口にする・・・基本的にゼロスは男相手なら冗談か本気かはさておきとして拒否や否定の言葉を口にするが、女性相手ではそんなことを言ったことなどしいなの記憶にはそれこそナタリアの件以外に思い付かなかった為に。
「そうです。そして他にも何人の方もこちらに来る前と変わった方もいると思いますが、それは全てルークさんが理由にあると思います」
「ルークが・・・」
「はい。ルークさんと接する機会の多かった人、もしくは何らかの考えを持っていた人が本心を明かしたルークさんと話をしていったことにより変わっていった人は多いと思います。その中でジュディスさんはどちらかと言えばルークさんがこちらに黙って出ていったことに怒りというか、そういった考えからだったと記憶していますからそこを考えると変わったと見ていいと思います」
「あぁ・・・あの時のプレッシャーは少なくとも機嫌がいいとはとても言えるような物じゃなかったね・・・」
すずはその理由はやはりルークにあると言いつつもジュディスの動機についてを口にすると、当時の事を思い返ししいなも納得する。少なくともローレライに向けていた頃のジュディスの感情なら、ルークに対して正の感情ばかりを持っていた訳ではないだろうと。
「あの人は掴み所が難しい人なので本気で怒っていたのか何か別の考えがあったのかは私もよく分かりませんが、それでも私なりにジュディスさんの性格を考えれば気に入らない相手とルークさんの事を見たなら必要最低限の接触だけか皮肉とトゲにまみれた言葉でいつも返していくと思います。けれどそうはせずに普通に話しかけているところを見ると、少なくともジュディスさんはルークさんの事を今は嫌っていないのだと思えるんです。むしろ好意的に見ているといった方がいいかと」
「確かにねぇ・・・元々があんな風に穏やかって感じだしアドリビトムの皆がいい人達ばかりだからあんまりそうは思わないメンバーも多いだろうけど、ジュディス結構言うことがキツい事もあるんだよねぇ・・・自分の気持ちを隠さず、ナチュラルに言葉にするし。ただそれは裏を返せばジュディスってそういった面じゃ嫌いなら嫌いって態度で示すから、少なくともルークの事は嫌いじゃないってことか・・・」
そんなジュディスは今のルークに対しては別に嫌いだといった感情はなくむしろ逆ではと話すすずに、またしいなは納得する。ジュディスは意外と分かりやすい面があると感じていた為に。
「・・・しかしジュディスも含めて変わった人が多いって聞くと、こっちに来てないメンバーも含めて良かったことなのかって思うんだけどねぇ・・・」
「少なくとも私は良かったとは思います、こちらに来ていない方々の事も含めて」
「・・・そう思う理由はなんだい?」
「ルークさんの真意に触れたことで私達の視野が広がったことに、来ていない方々の視野がこれから広がるだろうからです。と言ってもそれがいい意味になるかどうかはエステルさんのような前例がありますから、その方次第だとは思いますが」
「あぁ・・・まぁエステルはね・・・」
それでふと話題を変わったことが良かったかという方向について口にするしいなにすずが同意しつつ口にした名に、複雑そうな表情を浮かべる・・・一応頭では理解はしてはいても感情は納得出来ていないと、エステルが悩んでるような場面はダイクロフトにいる時はしいなも見てきた為に。









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