決意と決別の意識の差

「では後でこの部屋に来る人に髪の毛を切るのを任せてはいかがですか?すずにしいなの二人以外にも何人か来るかと思いますが・・・」
「あ~、うん。頼んでみようかな、無理なら無理でルミナシアに戻ってからにするし」
フレンはそこで部屋に誰か来たら髪を切るよう頼めばと発案し、ルークは軽い気持ちで頷く。


















・・・その後は話の流れもあり他愛のない会話を楽しんだ二人だったが、すず達の来訪を受けて一先ずその会話の流れは終わらせた。



「・・・では報告しますが、陛下と公爵の二人に呼び出されたアッシュさんは一応はちゃんとキムラスカに戻るとは言ってはいました」
「一応はって、どういうことだ?」
「有り体に言って、自分の体裁を気にしたような言い方をしてたんだよ。自分はキムラスカに戻るような気持ちはなかったけどナタリアの為に戻るからそれを忘れないでほしいみたいな感じで、いかにも自分は仕方なくだけど考えを持って敢えて戻りましたみたいな風にさ」
「あぁ・・・まぁらしいっちゃらしいけどな、アッシュの性格を考えると」
それで幾人かの供をつけたすずとしいなの二人からの早速の報告の中身を受けて、ルークは苦笑気味にアッシュらしいと返す。
「らしいと言えるのは確かにルークさんの言う通りでしたが、その後にお二人にルークさんを牢に入れるなりしてキムラスカに繋ぎ止めておくことは出来ないかとアッシュさんが言い出したとしてもですか?」
「え・・・?」
「アッシュは自分のプライドを守るためにルークと勝負したことに関しては伏して話はしてたけど、あれは聞いてて気持ちのいいもんじゃなかったよ・・・ルークに対しての罵詈雑言を散々口にしていって、その上でどこか二度と見つからない所に行くつもりだからあの屑を牢にでも入れて逃がさないようにしてくれって言ったんだよ・・・アッシュの事だから自分が勝つまではルークを逃がしたくはないと思った上で、自分が勝ったらそのまま殺して負けたらまた牢の中って風にしようって心積もりなんだろうさ」
「ただそう聞いてお二人はそんなことなど出来るはずがないと言いましたが、あの様子ではルークさんと先に会って話した事がなければお二人はルークさんと話した中身についてを告げた上で、説教だったり説得などをしようとしたでしょう・・・おそらく逆効果になっていただろう事は簡単に予想は出来ますが」
「あ~・・・それは何となく想像は出来るけど、そこまでして俺を倒したいっていうか殺したいのか・・・アッシュ・・・」
だがすずが不穏な空気と共にしいなと話していったアッシュ達の会話の流れを聞いて、ルークは流石に辛いといったように表情を歪める。まだアッシュが自分の事を殺意を向けるという意味で諦めてないことに。
「・・・もう気にする必要はないわ、ルーク。アッシュの気持ちを聞いて辛いという貴方の気持ちは分かるけれど、ルミナシアに戻ると決めた以上はもう貴方には関係のないことになるのだから」
「ジュディス・・・まぁそうするべきだって分かっちゃいるけど、それで苦労するのは叔父上達だって考えると気が重いんだよ・・・」
「それは確かに申し訳無いだろうけれど、貴方がダイクロフトに行くとなれば貴方の行く末を知って流石にもうアッシュも諦めるはずよ。アルビオールでもどうしようもない場所に行くとなれば、ね」
「あぁ・・・そうすれば確かにアッシュでもそうなるか・・・」
そんなルークに優しい表情を浮かべ大丈夫だと気遣うと共にダイクロフトについてを上げると、ルークも納得する。いかにアッシュでも諦めざるを得ないことになるだろうと。









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