分かたれた道の再度の交錯

(・・・まぁこれ以上は流石に言えないよな。いくら俺がこっちに戻ってきたからって・・・)
・・・ルークの言っていた事はライマの事情に深く入り込んでいた。だが実はそれだけではまだ足りなかった。ルークが意図的にそれを言わなかったが為に。ならばそれは何かと詳しく言われれば、ライマという国の王族の成り立ちかたにあった。



・・・ただどうライマという国の王族の成り立ちかたに理由があるのかと言えば、実は単純なことだ。それは同じライマの王族であったインゴベルトとピオニーの仲がよくはなかったからである。
ルーク自身何故この二人の仲がよくなかったのかという理由については詳しくは聞いてはない。聞こうにも向こうのインゴベルト達は死んでいたことに、その地位の後を継いだピオニーにも聞いたことはなかったのだから。

ただなんとなくで予想するなら元々の性格からして結構自由奔放なピオニーと、王族であることに誇りを持ち真面目に勤めようとするインゴベルトでは一緒にいては反りが合わなかったのではとルークは思っているが、それを顕著に感じた理由はどちらに寄った立場にいるのかがありありと分かる貴族の態度である。

元々の前陛下として王族らしい王という行動を取るインゴベルトに寄る貴族と、対して新たに王となったピオニーは今までの王族らしくはないがおおらかで接しやすく革新的な考えを示す在り方に惹かれる貴族・・・両者の対立はある意味当然ではあったが、前陛下であるインゴベルトに寄る人が多かったとルークは感じていた。

まぁこれはインゴベルトの方が国王として着任している時間が長かったからだとルークも理解しているが、だからこそその貴族の勢力故に自身の考えを否定されると考えてもいた。インゴベルトが決めたことに逆らう自分の考えを許容するはずがないと。ただそこまで明かしてしまえばライマから出たとは言え国に所属していた自分が醜聞を広めてしまう・・・そうルークは考えたが故にそこまでは言わなかったのだ。



「・・・ねぇルーク。貴方は昔のようにとルミナシアで振る舞っていたのはそれでライマの人やアッシュ達に見損なわれる為なのかしら?それで自分の事を犠牲にしてアッシュをライマの王にして、ナタリアをその相手にしようとしたということで間違いないと」
「まぁそうだけど・・・それより先にまずなんで自分が兄なんだって思ったな・・・王族や貴族って例外を除くと兄弟は上の方が家督だったりを受け継ぐのが普通だから、ライマに来て周りの状況を確認していくにつれて俺がアッシュを置いてまた全部もらうことになるのかって思ったんだよ・・・そしてしばらくしてからナタリアの相手になるなるって伝えられた時、また一層・・・さ」
「・・・もうその時には二人は心を通じ会わせてたってのかい?」
「あぁ・・・子供心ながらに仲良くなる二人の姿を見て思ったんだ。二人の邪魔をしちゃいけない・・・だからどうにかして、俺からアッシュにナタリアを始めにした全部の権利を移行出来ないかって思ったんだよ。そのためなら自分はどうなってもいいって・・・けど、それはうまくいかなかった」
そんな考えなど露知らず重くなる空気の中でジュディスとしいなから確認の問いを向けられ一つ一つ万感の想いを込め答えるルークだが、目を閉じ首を横に振る。
「俺は王族として、次期ライマの王として相応しくない行動を取っていた・・・けどそんなことをやっても意味がないばっかりか、次第に話がどんどんと進められていってるのに気が付いたんだ。周りを固めるって意味で・・・ナタリアとの結婚を俺が十八になる時にさせようってな」
「っ!?そうなのかい!?」
「まぁあくまで一例ってだけだけどな、それは。それにまだ別の話も出てはいたけど、それは全部共通して俺を次代のライマの王として縛り付ける為の手段なんだよ。色々問題があって嫌がってる俺のな・・・だから俺は手遅れになる前にライマを出ようって決めたんだ。俺が王になる前ならまだ迷惑はかかるだろうけど取り返しはつくって思ってな」
「「「「・・・」」」」
そしてナタリアと結婚話の計画が出てたと漏らすルークにナナリーが驚愕のに声を荒らげるが、あくまでそれは一部と言いいかに自分を縛り付けようとしてきたのか・・・そしてだからライマを出たのだと苦く語る姿に、ジュディス達は何も言えずにいた。








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