決意と決別の意識の差
「・・・今までありがとうございました。そしてすみませんでした父上・・・事実を知らなかったとは言え、『ルーク』として7年間過ごして・・・」
「い、いや・・・それはお前だけが悪いわけではないが、せめてシュザンヌに顔を合わせてはいかないのか?」
「・・・そうしたいのは山々ですが、俺に会ったことに一緒にキムラスカに戻ってほしいと言ったことを母上から言われた場合アッシュが荒れるだろうということは予測が簡単に出来ます。ですから俺は母上に会わず、アッシュにも今の服を着替えてもらって『ルーク』として会ってもらう方がいいと思います。当たり障りのないように振る舞ってもらった上で、記憶を取り戻した・・・とでも俺の発案ではないと言ったように父上から言ってもらって、無理のないようにする形で」
「・・・分かった、そうさせてもらう」
そしてルークが頭を下げて別れの言葉の後にアッシュへの対応を願うと、公爵ももうそれ以上の引き止めの言葉は口にせずに神妙に頷く。
「・・・話は済んだようだな。ただこのままそなたを放り出すようなことは望ましくないと思うから、餞別でもそなたに渡そうかと思うのだが・・・」
「いえ、それは大丈夫です・・・一応自分がどうするかにどこに行くかについてですが、ダイクロフトの面々の元に行くことにしていますので」
「・・・そうなのか?」
インゴベルトが終わった空気を察して餞別との言葉を切り出すが、ルークがダイクロフトに行くと言ったことに公爵が首を傾げる。
「はい。元々どうしようかと考えていた所に向こうからの誘いがあったこともあって、そうすると決めたんです。ただこの事に関してはもうダイクロフトの面々との繋がりが完全に無くなったと確信するまでの間でいいので、黙ってておいてもらえませんか?」
「・・・それまででいいのか?」
「はい。俺の行方が分からないと言うことはアッシュにとって歯痒く感じることと同時に、公か内密にかはともかくもどうにか探そうとする気持ちを抱くでしょう。ですがもう場所を知ってはいても、そこに行きようがないとなればいくらアッシュでも諦めざるを得なくなります」
「・・・成程、そう言うことか」
「ですので叔父上には申し上げましたが、いくら後で俺がアッシュにどう言われようとも構いません・・・ですからアッシュをどうにかキムラスカから出さないよう、それでいて不便をさせないようにしてください。お願いします」
「・・・分かった。後は任せてくれ」
そう考えるに至った経緯とアッシュへの対策、そして自身への罵声に悪名を覚悟して口にして頭を下げるルークに公爵も覚悟を決めたといったように頷いた。
「ありがとうございます・・・では俺はこれで失礼します。次にアッシュと話すというならそろそろ出ないといけないでしょうから」
「うむ・・・後は任せてくれ」
「では・・・失礼します」
そして頭を上げたルークは二人に再び軽く頭を下げた後、部屋を退出していく。
「・・・陛下からお聞きはしていましたが、まさかここまでだったとは・・・」
「うむ・・・だがもうルークは選んだ上で、アッシュを我々に託したのだ・・・我々がせめて出来ることはそれこそアッシュを全力で引き止めることだ」
「分かっています、陛下・・・」
・・・それでルークがいなくなった所で公爵はインゴベルトと言葉を交わすが、心残りを隠しきれずに頷く・・・ルークの事を心から惜しいと思っているといった様子で・・・
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「い、いや・・・それはお前だけが悪いわけではないが、せめてシュザンヌに顔を合わせてはいかないのか?」
「・・・そうしたいのは山々ですが、俺に会ったことに一緒にキムラスカに戻ってほしいと言ったことを母上から言われた場合アッシュが荒れるだろうということは予測が簡単に出来ます。ですから俺は母上に会わず、アッシュにも今の服を着替えてもらって『ルーク』として会ってもらう方がいいと思います。当たり障りのないように振る舞ってもらった上で、記憶を取り戻した・・・とでも俺の発案ではないと言ったように父上から言ってもらって、無理のないようにする形で」
「・・・分かった、そうさせてもらう」
そしてルークが頭を下げて別れの言葉の後にアッシュへの対応を願うと、公爵ももうそれ以上の引き止めの言葉は口にせずに神妙に頷く。
「・・・話は済んだようだな。ただこのままそなたを放り出すようなことは望ましくないと思うから、餞別でもそなたに渡そうかと思うのだが・・・」
「いえ、それは大丈夫です・・・一応自分がどうするかにどこに行くかについてですが、ダイクロフトの面々の元に行くことにしていますので」
「・・・そうなのか?」
インゴベルトが終わった空気を察して餞別との言葉を切り出すが、ルークがダイクロフトに行くと言ったことに公爵が首を傾げる。
「はい。元々どうしようかと考えていた所に向こうからの誘いがあったこともあって、そうすると決めたんです。ただこの事に関してはもうダイクロフトの面々との繋がりが完全に無くなったと確信するまでの間でいいので、黙ってておいてもらえませんか?」
「・・・それまででいいのか?」
「はい。俺の行方が分からないと言うことはアッシュにとって歯痒く感じることと同時に、公か内密にかはともかくもどうにか探そうとする気持ちを抱くでしょう。ですがもう場所を知ってはいても、そこに行きようがないとなればいくらアッシュでも諦めざるを得なくなります」
「・・・成程、そう言うことか」
「ですので叔父上には申し上げましたが、いくら後で俺がアッシュにどう言われようとも構いません・・・ですからアッシュをどうにかキムラスカから出さないよう、それでいて不便をさせないようにしてください。お願いします」
「・・・分かった。後は任せてくれ」
そう考えるに至った経緯とアッシュへの対策、そして自身への罵声に悪名を覚悟して口にして頭を下げるルークに公爵も覚悟を決めたといったように頷いた。
「ありがとうございます・・・では俺はこれで失礼します。次にアッシュと話すというならそろそろ出ないといけないでしょうから」
「うむ・・・後は任せてくれ」
「では・・・失礼します」
そして頭を上げたルークは二人に再び軽く頭を下げた後、部屋を退出していく。
「・・・陛下からお聞きはしていましたが、まさかここまでだったとは・・・」
「うむ・・・だがもうルークは選んだ上で、アッシュを我々に託したのだ・・・我々がせめて出来ることはそれこそアッシュを全力で引き止めることだ」
「分かっています、陛下・・・」
・・・それでルークがいなくなった所で公爵はインゴベルトと言葉を交わすが、心残りを隠しきれずに頷く・・・ルークの事を心から惜しいと思っているといった様子で・・・
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