決意と決別の意識の差

「・・・早速だがどうなったか結果を聞こう。この後にアッシュも呼び出して話をせねばならんからな」
「・・・簡単に言うなら俺はもうキムラスカに戻ることはなく、アッシュだけで戻ることになりました。ですので前にお話ししたよう、その上でアッシュを『ルーク』としてこちらに戻してください。ダイクロフトの面々からも様々な事を言われましたので、早々には我慢をかなぐり捨てるような事を起こすことは無いはずです」
「うむ・・・ただ戻る前に最後にクリムゾンと話をしてやってくれ。もう明日になればバチカルから出るのであろうし、アッシュがいて話は出来んだろうからな」
「・・・はい、分かりました」
インゴベルトはすぐに本題に入るように言い、ルークもまたすぐに答えを返す。その答えを受け止めつつ傍らの公爵に話をするように言うインゴベルトに、ルークは覚悟して頷く。
「・・・叔父上から話は聞かれましたか?俺達の事に、俺が考えたことは・・・」
「・・・あぁ、話は聞いた。それでアッシュを『ルーク』としてと言ったが、本当にアッシュはそうすると考えているのか?あまりそう言ったことを考えるようには思えないが・・・」
「今言いましたが、ダイクロフトの面々からそうしなければならないと結構言われたからこそ受け止めてはくれました。ですがそれを父上達から必要以上に取り上げてアッシュに話をするのは止めておいてください・・・俺に対する敵意を抑えなければいけない生活に苛立つ精神状態に加えて、色々我慢しなければならない状況でそういったことを言われればアッシュは一気に爆発しかねませんから」
「・・・それは分かった・・・だがどうしてもファブレを、キムラスカを出るというのか?・・・アッシュがお前を気に食わんというのはもうこの際どうにもならんとしても、せめてバチカル内とは言わずともキムラスカのどこかの領土内でアッシュにだけ内密に生きることは出来ん訳ではないと思うのだが・・・」
「それは出来ません。アッシュには俺の事を探すことについてを色々話をされましたが、もう旅の間とは違いこれからアッシュは『ルーク』としてキムラスカに戻ることになります。そうすれば俺の事を見つけ出そうと自らでなくとも動き出し、無理にでも俺を自分の元に引っ張り出そうとしかねません。そうなればその行動の結果もそうですが、その過程でも俺の存在で多大な混乱が起きかねません・・・何故『ルーク』様が二人いるのだとか、何故レプリカである俺を殺そうもしくは殺したのかとか・・・他にも考えられる理由は多々ありますが、それでもアッシュが『ルーク』という存在に戻る以上は俺という存在にこだわることはあまりいいこととは言えませんし・・・何より俺はもう、アッシュと険悪な仲でありたくはありません。もう俺の事を気に入らないだとか悪態をつかれることに関しては受け入れますが、ずっとそういった感情をぶつけられたくはないんです・・・」
「っ・・・ルーク・・・」
それで覚悟を決めて公爵との話し合いを始めるルークだが、尚と食い下がるようにアッシュ関連で条件を口にされてきたことに本心からの言葉・・・アッシュにずっと悪感情を向けられたくないと弱音を漏らしたことに、公爵も痛ましげに顔を歪める。アッシュの事でルークに我慢を強いるにはあまりにも酷だと言える言葉を想いと共に受け取ったが為に。









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