決意と決別の意識の差

「もうヴァンを始めとした一派に関しては世界各国で罪人として宣伝されるているか、もしくはこれからされることだろう。その中でお前が『アッシュ』としての名を名乗り続けたならどうなると思う?キムラスカに戻った際の経緯も含んだ上でだ」
「・・・名乗り続けたなら、だと・・・?」
「・・・思い付かんようだから答えるが、『アッシュ』という名をそれでも名乗り続けるならお前に盛大な疑惑がかかるのだ。ヴァンに対しての心残りかもしくは忠誠心があり、ヴァンのやろうとしていることを自分一人ででも成し遂げんとしているのではないかとな」
「なっ・・・!?」
「そしてキムラスカ側もお前が『アッシュ』と名乗り続けるのなら多大な迷惑を被ることはまず避けられん事態になる・・・考えられるのは『アッシュ』を名乗らせているのは実はヴァン達は影でキムラスカの手により生かされていて、ヴァンに操られているかもしくはヴァンを操ってまた良からぬ事を企んでいるのではないか・・・と言ったよう、勘繰られて疑われる形でだ」
「っ!!」
ウィルはそこからいかに『アッシュ』を名乗り続ける事への弊害があるかを当人のこともだがキムラスカについても被害が出ると語り、アッシュはまさかと息を呑む。そんなことになるなどと思っていなかったと。
「そしてキムラスカ側もそういった余計な勘繰りで評価を下げるような事を避けたいだろうから、まずお前が『アッシュ』という名を名乗ることは良しとはせんだろう。そうなればお前が『ルーク』の名を名乗ると言うより、『ルーク=フォン=ファブレ』に戻ることになるのは間違いないだろう・・・それでも『アッシュ』と名乗りたい、もう自分は『ルーク=フォン=ファブレ』じゃないはまず通じんだろうな。そしてルークを探したいと言った希望もな」
「何っ・・・どういうことだ、それは・・・!?」
その上でキムラスカが望むだろう事についてを話していくウィルだが、ルークについての話でアッシュは途端に何故と食い付く・・・遅かれ早かれルークに対してリベンジをしようと辺りは考えていたのが分かるように。
「それは当然だろう。お前がキムラスカに戻り『ルーク』の名を名乗ることになるなら、ルークの存在を公にすることはあまり望まれる事ではない。それに何の目的でルークを探すのかとなって・・・お前がその理由をただ探したいからだけでキムラスカを押し通せるとは思えんが、何よりルークに負けたからもう一度戦い直したい・・・などとお前は正直に公爵や陛下達に言えるか?いや、誤魔化すにしてもルークと話し合いたいだとか仲良くしたいだとかそういった嘘をついてまで探させたいか?後々険悪な関係になると戦うことになってわかるのが目に見えていて、嘘だとすぐに分かることを言ってまでだ」
「っ・・・!」
「いくらなんでもそんなことの為、明らかに嘘だとすぐに分かる嘘をついてまででもルークを探させる事は出来んとは思い至ったようだな。そしてルークを探させる事が出来んなら自分で探す、と言うのもまず通じる話ではない・・・一応事情があったとは言えお前がキムラスカに7年の間戻ってこなかったのは事実で、事情をナタリアから聞けばお前がキムラスカを自由に出ることなどまず許されん立場になるだろうな。折角戻ってきたお前がルークへのリベンジの為に後先考えずに出ていき、今後のキムラスカもそうだがナタリアの事も放っておいて無責任にどこかに消える・・・などという事態を避けるためにな」
「っ・・・!」
「・・・ぐぅっ・・・!」
ウィルはそのまま言い訳を潰すようにした上でナタリアまでもを引き合いに出し、ハッと不安げな顔を浮かべ視線を向けるナタリアにアッシュは苦い表情で視線を背ける。強行すればキムラスカもそうだがナタリアの事も考えずに行動する事になると言われたも同然な事を言われたために。









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