分かたれた道の再度の交錯

「・・・ルークさん、いいですか?」
「・・・どうしたんだ、すず?」
「ローレライからアッシュさんとナタリアさんの二人の事もあってライマに居づらくなったと聞きました・・・ですがそれでどうしてライマを出るとまでの選択に出たのでしょうか?その気になればナタリアさんとの婚約破棄も出来たはずですし、なんなら他の人を見付けることも出来たと思うのですが・・・」
「・・・その事に関して言うと前者はそれが相当に難しい環境にあって、後者に関してはそんなことに付き合わせたらその人が下手すると酷い事態になるのが目に見えたからだよ」
「・・・どういうことだい?」
少ししてそれでも何かを聞かねばと思ったのだろう・・・すずが意を決して問い掛けを向けるが、顔を上げたルークの意味深でいて重い言葉にしいなを始めとして首を傾げる。
「・・・まぁこれは俺やあっちのナタリア達くらいしかライマの詳しい事情について知らないだろうから言うけど、元々あっちでの俺とナタリアの婚約はライマの前陛下でこっちでキムラスカの陛下をしてるインゴベルト陛下と俺達の父親だった父上の意向があって成り立った物なんだ。んで皆はそんなものなんか撤回出来るんじゃないかって思ってるかもしれないけど、俺らが産まれた時からほとんど経ってないのに決められた国の決定って物に不服や反論を唱えるのは俺からすれば無理があったんだ。流石にナタリアと結婚する気はないから婚約を解消してほしいなんて十にもいかない子供から言われたって、我慢しろの一言で終わらされるのは目に見えてたからな。それに加えて婚約を覆そうにもそれが出来ない状況ってのが予想外な時に来た・・・それは陛下に父上達が亡くなったことだ」
「それぱ聞いた事があるわ・・・ライマのインゴベルト陛下達が亡くなった事からピオニー陛下にその座が転がり込み、政権交代されることになったと」
「あぁ。ただ父上達は亡くなったけれど婚約の件まで無くなった訳じゃなく、むしろ父上達がいなくなったことで臣下からそれは遺言のような形で守られるべき事って認識になった。そしてそう考えるようになったのはナタリアもだったんだけど、ナタリアがそうやって分かっているって示してるのに俺が拒否を示すのは何事かって臣下からは取り付くしまもない言葉以外かけられることはなかった。まぁこの辺りは臣下からしてみたら婚約の件で余計な争いになったりしないようにとか前陛下達の意向を忘れるのかって非難を受けるのを避けたいとか、そう言った考えがあったんだろうと思うけどそれは俺にとっちゃ歓迎出来ない事だった・・・何せ普通の手段じゃ到底婚約破棄が出来ないって理解させられたんだから、まず臣下がそれを許さないって事になるしナタリア自身が婚約を受け入れてるんだから・・・例えナタリアが本意じゃないにしてもだ」
「・・・それで貴方一人では到底状況を打破出来ないと、そう思ったのね?」
「あぁ、そしてだからこそ俺はナタリアじゃない相手を見付けることをやめた事にも繋がるんだ」
それからルークにより話されるライマという国の歩んできた表の歴史と、その裏で自身の見てきた人々の態度・・・それらを聞いてジュディスが婚約破棄の難しさを理解したといった言葉を上げるが、ルークはだからこそ他の相手は見付けられなかったと続ける。
「言っちゃなんだけど、時々アッシュには婚約話だとか女の人が寄り付いてきてるなんて話は聞いたことはあった。まぁアッシュの場合は婚約とかなかったから立場的に自由じゃあったし一応俺の次に王位継承権を持ってたから引く手あまただったけど、ナタリアの事が好きだってのは見てて分かったしその話はたまに怒声付きで全部断ってたからなんとも言いようがないけど・・・俺の立場ってのは簡単に言っても次期王様で、それも既に前陛下から指名された婚約者付きのだ。そんな立場の俺に近付いて来るような人なんかいるわけがない・・・そうして近付いたって門前払いされるか最悪、何か罪を着せられて処分されるのがオチだ。それにいたってそれは何か腹に一物抱えてる人かスリル目当ての火遊び気分な人くらいだってのは俺の目から見ても明らかだった・・・そんな状況でナタリアとの婚約を解消するためって目的だけで、誰かを巻き込むなんて出来るはずがなかった・・・俺のわがままの為にさ・・・」
「「「「・・・」」」」
それでアッシュと自分の立場がいかに違い、自分が何と対し動いて考えてきたのか・・・それらを言い終わり視線を背けるルークにまたジュディス達は複雑そうに表情を変えた。あまりに重く一人で抱え込んできたその姿に。











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