いよいよの終幕への加速
「チッ・・・!」
(・・・多分アッシュも今の一瞬でまだ差が完全には埋まってないとは理解したはず・・・でもそれでアッシュが引くような性格だったり、すごい秘策を考え付いているとはまず思えないから一先ずは慎重にいけばどうにかなるか・・・急ぎすぎると、足元を掬われる可能性もあるしな)
一撃を防がれ後ろに飛んで距離を取るアッシュが苦々しげに舌打ちをする様子に、ルークはその内心を推測しつつ慎重に戦うことを心掛ける。下手な事にならないようにと。
・・・アッシュが勢いよく戦いを仕掛けた最後の一騎打ちだが、ルークだけでなくほとんどの面々が感じ取っていた。次第に進んでいく戦いの中身からアッシュが剣を振るってもろくにルークに当たるはずもなく、逆にルークの攻撃はアッシュにことごとく当たる・・・一気に勝負をかけても負けそうにない戦いの筈なのに、ルークが油断する素振りなど一切なく慎重な戦いの運びぶりをしていることからまずルークが負けることはないと。
(・・・アッシュの剣に苛立ちと焦れが露骨に浮かんできた・・・そろそろいけるか・・・)
攻撃を食らってもめげずに剣を振るってくるアッシュだが、次第に雑な大振りばかりになっていく・・・それを見ていよいよ余裕が無くなって来たと見たルークは決着を着ける時だと考える。
「はっ!」
(今だ!)
‘ゴッ!’
「なっ・・・!?」
‘ドタンッ!・・・カランカラン’
そんな時に力はこもってはいるがその分剣術としては雑な振り下ろしの一撃が来たため、ルークは瞬時に好機だと横にかわした後に足をひっかけバランスを崩してアッシュを前のめりに転ばせた。その際に何とか反射的に地面に両手をついたアッシュだったが、手元から剣が離れてしまう。
「くっ・・・がぁっ!?」
‘ガッ!’
「・・・俺の、勝ちだ」
「っ!く、くそっ!どけ、どきやがれ!俺はまだ、負けちゃいねぇ!」
アッシュも剣が離れたまずさにすぐ気付くが・・・それを取りに動くより先にルークがアッシュの背に馬乗りになって地面に押し倒し、剣をアッシュの首元の横の地に突き立ててから勝利宣言をした。だがアッシュも今の状態に気付きつつも負けてないと言い張り、体を揺さぶり起こそうとするがすぐ横に剣があるために思い切り動くことが出来ずにルークを振り払えずにいた。
「・・・決まりね。もしあそこから仕切り直しなんて認めたところでさっきと同じことの繰り返しでしょうし」
「だろうな。もうこれ以上は必要はない」
(同意するのはシャクではあるけれどその通りではあるし、ルークが勝たなきゃ意味がないのだし黙っておくべきね・・・)
そして端から見ていたジュディスにユージーンを始めとしたアドリビトムの面々も決着だと認識し、ティアも不満はそちらにありつつも同じような感想だからこそ何も言わずに黙りこむ。
「・・・取りあえず止めてくるよ。あんな風に振る舞ってはいるが、もうアッシュも逆転は無理だって思ってるはずだから誰かが止めないとね」
「えぇ、よろしくお願いしますクレスさん」
「アッシュ・・・ルーク・・・」
そんな中でクレスが仲裁に入ると動き出す背中にヒューバートが声をかけ、ナタリアは複雑そうにその様子を見詰める。アッシュの敗北、ルークの勝利、そしてこれから二人を取り巻く状況がどうなるのか・・・それらに向き合う事をしなければならないとナタリア自身が強く感じているために。
(ナタリア・・・そうよ、私も気を引き締めてこの後の会話に集中して・・・場合によってはそこに割り込まないと・・・!)
そしてその姿に感化されたのはティアもで、油断なく動くようにすることを心掛けようと強く決める。ここから先に何が起こるか分からないからと。
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(・・・多分アッシュも今の一瞬でまだ差が完全には埋まってないとは理解したはず・・・でもそれでアッシュが引くような性格だったり、すごい秘策を考え付いているとはまず思えないから一先ずは慎重にいけばどうにかなるか・・・急ぎすぎると、足元を掬われる可能性もあるしな)
一撃を防がれ後ろに飛んで距離を取るアッシュが苦々しげに舌打ちをする様子に、ルークはその内心を推測しつつ慎重に戦うことを心掛ける。下手な事にならないようにと。
・・・アッシュが勢いよく戦いを仕掛けた最後の一騎打ちだが、ルークだけでなくほとんどの面々が感じ取っていた。次第に進んでいく戦いの中身からアッシュが剣を振るってもろくにルークに当たるはずもなく、逆にルークの攻撃はアッシュにことごとく当たる・・・一気に勝負をかけても負けそうにない戦いの筈なのに、ルークが油断する素振りなど一切なく慎重な戦いの運びぶりをしていることからまずルークが負けることはないと。
(・・・アッシュの剣に苛立ちと焦れが露骨に浮かんできた・・・そろそろいけるか・・・)
攻撃を食らってもめげずに剣を振るってくるアッシュだが、次第に雑な大振りばかりになっていく・・・それを見ていよいよ余裕が無くなって来たと見たルークは決着を着ける時だと考える。
「はっ!」
(今だ!)
‘ゴッ!’
「なっ・・・!?」
‘ドタンッ!・・・カランカラン’
そんな時に力はこもってはいるがその分剣術としては雑な振り下ろしの一撃が来たため、ルークは瞬時に好機だと横にかわした後に足をひっかけバランスを崩してアッシュを前のめりに転ばせた。その際に何とか反射的に地面に両手をついたアッシュだったが、手元から剣が離れてしまう。
「くっ・・・がぁっ!?」
‘ガッ!’
「・・・俺の、勝ちだ」
「っ!く、くそっ!どけ、どきやがれ!俺はまだ、負けちゃいねぇ!」
アッシュも剣が離れたまずさにすぐ気付くが・・・それを取りに動くより先にルークがアッシュの背に馬乗りになって地面に押し倒し、剣をアッシュの首元の横の地に突き立ててから勝利宣言をした。だがアッシュも今の状態に気付きつつも負けてないと言い張り、体を揺さぶり起こそうとするがすぐ横に剣があるために思い切り動くことが出来ずにルークを振り払えずにいた。
「・・・決まりね。もしあそこから仕切り直しなんて認めたところでさっきと同じことの繰り返しでしょうし」
「だろうな。もうこれ以上は必要はない」
(同意するのはシャクではあるけれどその通りではあるし、ルークが勝たなきゃ意味がないのだし黙っておくべきね・・・)
そして端から見ていたジュディスにユージーンを始めとしたアドリビトムの面々も決着だと認識し、ティアも不満はそちらにありつつも同じような感想だからこそ何も言わずに黙りこむ。
「・・・取りあえず止めてくるよ。あんな風に振る舞ってはいるが、もうアッシュも逆転は無理だって思ってるはずだから誰かが止めないとね」
「えぇ、よろしくお願いしますクレスさん」
「アッシュ・・・ルーク・・・」
そんな中でクレスが仲裁に入ると動き出す背中にヒューバートが声をかけ、ナタリアは複雑そうにその様子を見詰める。アッシュの敗北、ルークの勝利、そしてこれから二人を取り巻く状況がどうなるのか・・・それらに向き合う事をしなければならないとナタリア自身が強く感じているために。
(ナタリア・・・そうよ、私も気を引き締めてこの後の会話に集中して・・・場合によってはそこに割り込まないと・・・!)
そしてその姿に感化されたのはティアもで、油断なく動くようにすることを心掛けようと強く決める。ここから先に何が起こるか分からないからと。
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