いよいよの終幕への加速

(何か予想よりティアが静かに思うけど・・・まぁ変に騒がれて場が進まないよりはいいか)
そんなティアだが端から見れば途端に沈黙して何もリアクションを取らない姿であった為、ルークは一先ず気にすることはないと目の前のアッシュへと視線を向ける。
(やる気十分なのは見て分かる・・・けど明らかに力がそのやる気につられて入りすぎてる・・・そこまでして負けたくないのか、俺に・・・)
そこにある敵意にぎらついた表情に今にも飛び掛からんばかりの力で強張っている体の状態を見て、ルークは改めて悲しくなってしまう・・・自分にこんな目に感情をアッシュが向けてくることにではなく・・・
(・・・その一心を少しでもナタリアの為にって考えを変えたり、立ち止まって改めて見直して欲しかったんだけどな・・・少しそうするっていうかナタリアを意識すれば、アッシュの選択肢は変わったり増えたりしたと思うのに・・・)
・・・そう、対抗心を燃やしすぎる余りにナタリアの事を見失っていることだ。



・・・ルークはルミナシアで暮らしていく内に、オールドラントで生きてアッシュと対峙していた時と違う考えをアッシュに抱くようになった。それは何故自分の事を敵対視するあまりに、周りの事を気にしないのかという考えだ。

自分がナタリアとくっ付けようとするためとは言え、以前のような何も知らないお坊ちゃんという態度を取っていた事がアッシュにとって気に入らない事だったと言うのは重々承知している・・・しかしそれでも時と場合を気にせず気に入らないことがあればルークを罵り、喧嘩へとすぐに発展させるそのアッシュの気性がオールドラントと周りの環境やら人間関係が違うのに引き継がれたかのような様子で全く変わらないことにはルークも何故だと頭を抱えた。ナタリアとの婚約の件もあると言ってもだ。

その上で演技していることもあるが自分ではアッシュを説得はまず出来ないと考えたルークではあるが、だからこそそこで考えてしまう・・・何でアッシュはそこまで自分の事になるとここまで周りを見なくなるのだと。

この事に関してはルークの思ったことそのままというわけではないが、一応在りし日のインゴベルト達にその座を受け継いだピオニーなどからアッシュに向けて注意がされたことがあった。ルークのことが気に入らないと言うのは百歩譲って個人の感情だからまだいいとしても、せめて人前でだったりいきなり空気を読まずにキレるような事は止めるようにと・・・ただアッシュはその時は言葉としてその時はうやうやしく受け止めはしても、結局ルークに対する怒りを抑えることなど出来ないままに行動して度々衝突を繰り返してきた。他の面々がまたかといった様子になっている姿であったり、ナタリアが辛そうにしている姿などお構い無しにだ。



(・・・本当にどうして俺をそこまで敵視するようになったんだろうか。こっちのアッシュはともかくとしてルミナシアのアッシュは・・・)
こればかりは本気で何故とルークは考えてしまう、ルミナシアのアッシュはどうしてそこまで自分を嫌ったのかと。
(・・・いや、もうそれは考えても仕方無いことだ・・・もう向こうのアッシュに俺は関係無くなったんだし、俺が戻ったらライマ全体も含めて混乱する事になる・・・今俺がやるべき事に考えるべき事はアッシュと戦って、ナタリアとくっ付けるように動くことだ・・・!)
しかしそれから考えを目の前のアッシュの方へとすぐに移し、ルークはやる気をみなぎらせる。自分に対する敵意に満ちさせるより、ナタリアと共にいさせてそこから目を離させようとする為に。









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