いよいよの終幕への加速

(ど、どうすればいいの・・・この人達が決着を着けるようにと提案したことは余計なことだったとは思うけれど、でもここで二人が戦うようにしなければアッシュが前にアブソーブゲートから姿を消したように姿を見せなくなるのは確かになるのは間違いない・・・でも今の状況で大丈夫なの・・・!?)
そしてその心中では必死に考えを巡らせるものの、ティアの中には不安以外浮かぶものは何もなかった。



・・・ここでティアがルークとアッシュの二人の仲を取り持つための策なりを見当違いかどうかは別にしても、考え付いていたなら多少なりにもここでならと打開案をどうかと口に出来ただろう。だがティアにはそんな考えなど一切なかったからこそ焦った・・・のだが、そうやって二人の仲についてを考えていなかった理由はいくつかある。

まず一つはアドリビトムのメンバーというイレギュラーな存在がいて、思考を奪われたこと。続いてはルークを含めた周りの状況に合わせる対応力に余裕がなくなっていたこと。そして最も大きな理由が・・・二人の間柄に関して本人は認めたくはないだろうが、どうにか自分が動いて解決しようと考えることをハナから放棄していたからである。それも考えていたとは言っても仲良くなればいいなと言った程度の事を言い訳にするくらいであろう。

・・・ティアがそう言ったように二人の仲についてを何も考えていなかった理由に関しては、これまた本人が聞けば否定を返すだろうが二人の事について自分が関与しても意味がないと意識の内の何処かで感じた上で、自分が解決するという考えに意識を持つことが無かったが故である。

二人、いやナタリアも含めれば三人になるが・・・二人の問題をどうにかしたいと思う割には、あまりにもお粗末と言うか考えが無いにも程があると言っていいだろう。過去に戻り時間があってその問題についても考える時間があったにも関わらず、だ。



(・・・もう、しょうがないわ・・・ここはルークに期待するしかないわ。アッシュがナタリアの元を離れないようにしてもらうためには・・・そうよ、今のルークならアッシュに負けるような心配なんてする必要はないもの・・・!)
焦るティアは仕方無いとルークに頼るような考えに移行するのだが、次第にルークの腕なら大丈夫と無遠慮な考えで安堵を脳内に浮かべる。



・・・実際の所、ティアが行動しても無駄だと心のどこかで感じていたことは事実として間違っていなかったであろう。元々ティアの性格からして反発する人間に対して言葉による説得など穏やかに出来ないどころか、むしろ感情的な事を優先的に口にするタイプだ。

もしティアが二人の関係についての意識をどうにか出来たとしてもまずアッシュ相手に反発せず、言葉を荒立てず、それでいてアッシュを納得させるための言葉を向けて事態を丸く納める・・・そんな事がティアになら絶対に出来るかと彼女の事を知る人間に聞いたなら、オールドラントに来る前のエステルでさえも無理だと言うだろう。

そう考えればティアが下手に何もしなかったことはある意味では英断と言うか忘れられてよかったと言うべきなのだが・・・結局はティアがどうこう出来る問題ではなかったという事実のみが残った。

いや、そればかりかあれだけルークの強さについて疑問を投げ掛け信じられないといった態度を見せていたのに、今度はその強さを当てにして解決することを望んでいるのだ・・・自分が何も出来ていないことを全く自覚もしてない形でだ。









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