いよいよの終幕への加速

(何か理由っていうか、確信があったから皆はそう言ってきたのか?それともルミナシアでのティアの事を重ねて、もしかしたらみたいに言ってきたのか?・・・いや、どっちにしても意味はないか。俺の中にはティアに対して異性に向けるような好意の気持ちはないし、あのティア相手なら尚更な事だ・・・だからもう、そこについては考える必要はない・・・例え本当にティアがそうだったとしてもだ・・・)
そのままアドリビトムの面々についての発言を思い返していくルークだったが、途端にその考えを翻して止める。真実か否かは分からないが自分の気持ちは既に定まっていると、ティアの想いがあるかないかなど関係無く自分が想いを抱けないという確信があったが為に。



・・・ルークがティアに対して抱いている想いはそれこそ精々世話になった相手で仲間と言ったようなシンプルな物で、昔から変わらず異性として見るような感情など抱いた事はない。例え前の時には生きてきた実年齢が七歳という事を差し引いてもだ。

そしてそんな感情に考えはルミナシアに移り住んで再びガイ達も含めてそこのティアと巡りあって過ごしている時、前と同じように集まったようでいて違いがある状況だったことが更にその考えを固めていた。

ルークは立場的にはアッシュの兄でいて王位継承権を持っている第一位の存在で、かたやティアはルークの婚約者であるナタリアの護衛という存在・・・こんな関係だったものだから元々気になる異性だといったような気持ちなどないルークがティアに不必要に近付く理由はないどころか、ナタリアを飛び越してその護衛に積極的に話をするということは不自然極まりないし、真面目なナタリアにティアが不快に思うのは間違いない・・・そう思ったルークは必要な形の形式張った態度が必要な時以外でしか、ティアとは極力話さないようにしていた。

その結果としてルークが演技の仮面を被っていたのもあり、アドリビトムに来るまで恋人関係になることはおろかいい空気になることすらなかった。そしてアドリビトムに来てからは時折ナタリアよりティアの方がお似合いなんじゃないかみたいにからかわれて言われることもあったが、それでも特別にルークがティアの事を意識するような事はなかった。

・・・これがあくまで自分の気持ちで主観から来るものだということはルークも十分承知はしているし、自分が単にティアの気持ちに気付けなかっただけかもしれないという考えも無かったわけではない。ただ前の経験にプラスして長い間自分の中で線引きしていた一線が、ティアを女性として見るという気持ちを失わせていた。



(・・・まぁティアが俺に気持ちを寄せるなんて有り得ないと思うけどな。色々迷惑かけてたってのもあるし、俺とか同年代よりジェイドまで上って言わなくても年上の余裕を持った人の方が似合うっていうか合うと思うし・・・)
その上でティアには自分より相応しい相手は別にいるだろうと、考えをまた別へとルークは巡らせる。同年代ではティアの事は難しいんじゃないかと思う形で。



・・・ティアの事情についてを知らないルークでは、何故自分に彼女がこだわっているのかは分からない。だがそれを知ることもないまま、運命の時間・・・夜が明け、外殻大地降下を行う日が訪れた。









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