いよいよの終幕への加速

「・・・・・・俺が、ティアに攻撃出来るか・・・正直、微妙だとは思う・・・出来るとしたら、多分それこそ俺が死ぬまで追い詰められるくらいな状況じゃなかったら逃げるだけ逃げるようにするってくらいだろうし・・・」
「そうですか・・・」
そしてルークは辛そうな表情を浮かべながら余程でなければ攻撃出来ないと口にし、すずも余計な言葉をかけずに一言で納得する。
「・・・悪い、すず・・・もう部屋を出てくれ・・・俺の決心に変わりはないけれど、それでも覚悟の決め直しをしたい・・・」
「・・・それはもし、こちらに残ると決めた場合に取る行動をどうするか・・・と言うことですか?」
「あぁ、まぁそうなるかな・・・流石に今のを聞いて、ちょっとな・・・」
「それは構いませんが、その前に言わせてください・・・今の話を受けてもしルミナシアに戻ることに決定させたとしても、恥ずかしいことだとかなんて皆さんも思わないと思います・・・ですからどちらを選ぶかを考えることにこだわることなく、ルミナシアに戻ることを選んでほしい・・・私はそう思っていますから。では失礼します、ルークさん」
「・・・ありがとう、すず」
それで一度考えたいと切り出したルークに対してすずは決して責めたりはせず、むしろ優しく気遣う言葉を残して部屋を後にし、ルークはそっと微笑んでその後ろ姿に感謝を口にする。
(・・・多分すずの言ったように皆が俺を責めるだとか、そういったことはないと思う・・・ただ、万が一・・・残る方になったとしたなら、俺はティアの事を攻撃してでも自分の自由の為に動く・・・のかな・・・)
それで一人になった部屋の中で今すずに言われたことを心の中で思い返し、ルークは改めて感じる。驚異を感じるあのティアとは言え、情けなど微塵もなく行動出来るのかを。
(・・・ダメだ、すずに言ったように多分余程じゃないと俺はティアを攻撃出来るような気が一切しない・・・でもそうなったら俺がどうなるか分からないって事もあるけれど、それに加えてティアも俺のことですごく時間やら何やらを使うことになるんだよな・・・ダイクロフトにいるようにするって言っても、アルビオールが完成すればそれも絶対大丈夫って訳じゃない以上にクレスの話の事もあるしな・・・)
その中で改めてまず出来ないと感じつつもダイクロフトにいれない理由があるのはアルビオールがあるからだけでないと、前に話したクレスとの話の中身を思い出す。ダイクロフトにいれない決定的な理由がある事についてを。
(・・・クレスから聞いたような展開になってそれで俺についてを諦めてくれるっていうんなら一段落になるんだろうけれど、そうなる可能性は相当低いだろうな・・・あのティアだとあの人達があんなことになって大人しくするはずがないとかって考えて、俺を含めて探しそうな気がするんだよな・・・何でそこまでって言いたいけど、皆が言うにはティアが俺に好意があるからって言うんだが・・・そこがよく分からないんだよな・・・あれが好意から来る態度だって、俺はまず思えないし・・・)
そこがあるからとしつつティアに諦めてほしいと思う中、ルークはティアの態度をどうしても好意と思えないとまた改めて感じる・・・一応はジュディスとの経験が初めてだったとは言え、知識としては色々詰め込んできた上にルミナシアのアドリビトム内での恋愛模様も多数見てきたからこそルークもそういった機微が分からないわけではなくなった。むしろアスベルレベルで鈍いのはおかしいのではないかと思うほどだ。



・・・そんなルークからしてみればティアの態度が自分への恋愛感情と言う意味での好意と思えないとアドリビトムの面々に言ったのは偽らざる本音であり、心からの謎であった。あれが自分への好意と言えるアドリビトムの面々は何を根拠にそう言っているのかと。









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