分かたれた道の再度の交錯

・・・それからルークはジュディス達から自分がルミナシアからオールドラントに戻った後のアドリビトムでの話を聞いて驚きを隠せなかった。まさかのディセンダーがそんな形で再び世界に舞い戻り、自分の事を気にかけてくれたなどという意外すぎる事実に。

そしてそのディセンダーとローレライにより自分の事実が明らかになったと聞いた時はまた相当に驚いた物だったが、同時に気になることがあった。



「・・・そう言った訳で貴方の事を私達は知ったのよ」
「そう、なのか・・・でもそれでこっちに来た訳については後で聞くけど、ティア達はそのこっちに来てないようだけどどうしたんだ?ガイにナタリアとかそう言った兆候がないから、何となく来てないってのは分かるんだけれど・・・」
ジュディスからの話に納得はしつつも、ルークはティア達の記憶の有無について問う・・・ルークが気になるのはそこだ。今のルークから見てナタリアはともかくとしても、ガイの嘘を見破ることは容易い。昔なら不自然だと思っていたその所作が、自分の事を誤魔化す為のものと分かるために。そのルークから見てどう見た所でガイとナタリアが記憶があるなどとは到底思えなかったのだ。言ってしまえばそんな記憶があるのを誤魔化す為の演技をしているとは思えない為に。そしてそれはジェイド達も同様で様子のおかしいティアは除外するにしても、その存在の有無が気になるのはルークからすれば当然の事であった。
「・・・彼らにはローレライの言葉は伝えず、こちらに共に来るようにと誘うことはしなかったわ。とは言ってもローレライの言葉を伝えなかったのはローレライ自身が深く頼み込んで来たからなのだけれどね、自分の身を省みずにアッシュとナタリアの二人を結ぼうとしたその決意を無駄にしないようにしてほしい・・・その為にもライマにいる者には事実は伝えないでほしいと、そう言われたからこそね。だから彼らには事実は伝えてないし、その事実を言わないことから必然的に彼らを誘うことは無しにしたの」
「・・・そうなんだ・・・」
ジュディスはそんな様々な想いのこもった問いに自分達がティア達を誘わなかった理由を述べると、ルークは複雑な気持ちを表情と言葉に浮かべる。
(アッシュ達がこっちに来てないっていうのは安心はした。もし来てたならアッシュとかの性格を考えると確実に俺のやったことで事態はこじれただろうし・・・でもだったらティアのあの変化はなんなんだ?明らかに前と違う理由には繋がらないし・・・それにジュディス達は嘘はついてないんだろうけど、何か不自然だ・・・それが何かって言われると分からないけど、ティアの事と併せて疑問しか浮かばない・・・)
そうなる理由とはティアの変化に、ジュディス達の言葉に違和感を覚えたからだ。だがルークはその疑問を言葉に出来ずにいた・・・それらをジュディス達に聞くにはあまりにも今の時点では自分でもうまく言葉に出来ない感覚頼りの物であり、まず説明出来ないと思ったために。
「・・・どうしたんですか、ルークさん?」
「あ、いや・・・話を続けてくれ。まだ聞きたいことはあるから・・・」
「そうね、じゃあ続けるわ」
そうやって考え込む姿にアニーが心配そうに声をかけてくるが、気にしないようにと首を振るルークにジュディスも頷く。
「とは言っても後はそう難しい話ではないわ。アッシュ達に貴方の事を伝えないと決めた後はニアタにディセンダーの知識と力を借りて、アドリビトムのメンバーに各メンバーが連れてきた臨時のメンバーもこのオールドラントに来たの。今ティア達と一緒にいるクレス達を除いた他のメンバーはまた別の場所にいるわ・・・ちなみにカロルは私達で、ヒューバートはアスベルが連れてきたメンバーでヒューバートはアスベルの弟よ。もっとも、養子としてオズウェルという家に行ったそうで今は姓はアスベルとは違うだけれどね」
「アスベルの?・・・いや、それはともかくとしてもなんでそんな事をしたんだよ・・・俺はそんなこと、望んじゃいなかったのに・・・」
「それを言うならお互い様だろ。私達はあんたがあんな形で消えるなんて事なんて望んじゃいなかったって言うのに・・・」
「ナナリーさんの言う通りです・・・なんでルークさんはアドリビトムを頼ってくれなかったんですか?ライマを人知らず抜け出せたルークさんならバンエルティア号まで来ることも出来たはずなのに・・・」
「・・・そんなこと、出来るなんて思わなかったからだよ・・・皆の迷惑の事を考えたらさ・・・」
「迷惑?」
それでジュディスの簡潔な説明を受けルークは表情を苦くして声を漏らすが、ナナリーにアニーの悲し気な声に迷惑だから出来なかったと返すとしいなが首を傾げる。







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