合間の一時はいかに

「・・・ふぅ。一先ずはルークも納得はしてくれたようね」
「悪いな、リフィル。話をする役を引き受けてくれてよ」
「これくらいは構わなくてよ、実際にルーク達と行動してる貴方達と違って裏方の私達はこういう風に貴方達の役にも立てる形でルークと話すことはないから」
「そう言ってくれると助かるわ」
リフィルはそこで安心したように息を吐き、話しかけてきたユーリに笑顔で返す。
「・・・しかしまぁ、アニスがルークに何かそれらしいことを言ってたとはな・・・正直、ルークがそのことを聞いてくるとは思わなかったから焦ったぜ」
「そうだよね~・・・姉さんが対応してくれなかったら僕達じゃあんな風にまとめられたかどうか・・・」
「・・・私だったら無理だと思いますし、こういう時はリフィル達の強さが羨ましく思います・・・そして、ルークの強さも・・・」
「エステル・・・」
それでスパーダとジーニアスが苦笑気味に雑談といったよう話を始めるが、エステルが暗い様子でうつむき羨ましいと漏らす様子に一斉に視線が集中する。
「・・・正直な気持ちとして・・・まだアニスもそうですし、その両親の事を割り切れてません・・・でもそうしないと危険だって、大丈夫だって無条件に言えないことは十分に聞いてきましたから私も反対は出来ませんでした・・・けれど皆はそれを受け止めることが出来ていて、ルークも話を聞いてすぐに納得してて・・・」
「だから・・・それが羨ましいっていうの?」
「はい・・・私にはとてもルークのように出来ません・・・」
「「「「・・・」」」」
いかに自分がまだ希望的な観測を持っているのに対し、他のメンバーとルークは現実と向き合っているのか・・・ジーニアスの言葉に自分の甘さが嫌になるといったように泣きそうな声を漏らすエステルに、自然と場の空気は重いものになる。
「・・・しゃあねぇだろ。エステルとルークじゃ歩んできた道も違えば、考え方も違うんだからな」
「ユーリ・・・そうですよね・・・私じゃ、ルークみたいにはなれないですよね・・・」
「なれないじゃなくてならないでいいんだよ。多分俺だけじゃなくルークも話を聞いてたら、同じような事を言うと思うぜ」
「え・・・?」
そんな時に口を開いたのはこの中で一番付き合いの長いユーリでエステルはその肯定に一層暗さを増した空気を滲ませるが、そうじゃないと言われたことにキョトンとする。
「ルークと同じようになるってことはあいつの経験したような事を自分も経験すりゃなんてことを考えてるかもしれねぇが、あいつの歩んできた道ってのは自分から行こうったって多分誰にも真似出来ない道だろうし自分と同じような苦しみなんか味わってほしくないってのあいつなら言うだろ。エステルがそんなことをする必要はないってな」
「それは・・・ルークなら言うでしょうけど・・・」
「ルークのことを理解したいし近付きたいって気持ちは確かに大事だ。だけど今エステルが感じてるものってのも大事な物なんだよ・・・ルークや皆に思いやりだとかそういった気持ちが全くないだとかそういった訳じゃないが、エステルのそういった考え方っていうのは冷静になるだとか頭で考えて行動するとかそんな打算なんて物とはまた別だ。そういった気持ちを素直に相手に向けれるって事は俺には出来ないことだし、ルークも有り難いだとか得難い物だとかって感じてると思うぜ」
「そう、なんですか・・・?」
「あぁ。さっきエステルと話してた時のルークの顔を見てりゃ分かった・・・あれがエステルのことを煩わしいだとかそんな風に思っちゃいない、心からの表情だってな。それはエステル自身感じたんじゃないか?」
「あ・・・確かに・・・」
エステルらしくあること・・・それを変える必要がないと言うユーリにエステルは半信半疑だったが、先程のルークの表情についてを出されハッとした。あの表情はエステルからの言葉だとかを邪険にしたような物ではないと。









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