「・・・本当なら両親の改心を願って行動するのが正しいのではないかと、私達の間では話になった。そして危険があるからと言って、両親と引き剥がすような事をするのがいいことな訳はないという話も出た・・・だけれど、優先すべき事は何なのかを考えた結果として私達はそうなるようにする為に動いてきたの。最善が無理なら、次善の結果だけでも残せるようにと」
「次善の結果だけでも、か・・・確かにな・・・絶対にいい結果だけを残せるんならともかく、それが出来なかったらどうしようもないしな・・・」
リフィルはそこで自分達も完璧に心残りなく最善の選択を選んだ訳じゃないと言うと、ルークは否定をせずにむしろ理解を示す。自分が選んだことと似通っているのもあるが、タトリン一家の件は最善を目指すことが難しいものだったと思えた事でもあったがために。
「貴方がそう言ってくれるのはありがたいけれど・・・どちらにせよ私達はアニスの事を悩み苦しませるようにしたことには変わりはないし、どちらがアニスにとってより辛いかは他人からは比較しづらいけれど、両親から離れるようにと誘導した・・・アニスからすれば私達は信用ならない存在にしかもう思われてないでしょうね」
「それで、良かったのか・・・皆は、アニスからそう思われて・・・？」
「気持ちがいい訳はないわ・・・ただそれでもどうするかを選ばずにいたら、ただ状況に流されるままに事が進んで最悪の状態になる可能性もあ有り得る・・・そう思ったからこそ、私達も選んだのよ。アニスによく思われてなくなっても、最終的に結果が良くなる選択をするべきだとね」
「・・・そう、なのか・・・(周りの皆は複雑そうにしてる人もいるし、納得済みって感じのもいる・・・この辺りは個人差もあるんだろうけど、やっぱり感情的に納得出来ないんだろうな・・・)」
リフィルはそこから自分は理解しているといったスタンスで話を進めていき、ルークは苦い表情を浮かべながら辺りを見渡すとエステルが辛そうな表情をしている姿だったり、ヒルダが表情を変えずにいる姿にやっぱり納得に差はあるのだと内心考える。
「・・・あ・・・ちなみに両親の借金とかのことに関してはどうするんだ？そのまま放っておくのか、もしかして・・・？」
「・・・これに関してはもう借金はしないようにという忠告で済ませる以外に無いわ・・・両親の気持ちを変えるために下手に巨額の現金を持たせたり、借金をさせていた人物達の借金をどうにかしたなんて言ったら両親がまともな事にお金を使うどころか、他人の為に使おうと小銭を寄付するくらいの気安さでそのお金をあっという間に他人に渡しかねない可能性の方が非常に高く、逆にそのお金を目当てに悪い人が殺到するきっかけになりかねないでしょうね」
「っ！・・・それは、余計に両親の立場が危なくなるって事に繋がるってことか・・・」
「おそらく金額の面で言えばアニスがスパイをしていた頃以上の金額を借りれることはないとは思うわ。話に聞けばモースの後ろ楯があるからこそ結構な金額を借りれてというか半ば無尽蔵に借りることは出来ていたようだけれど、それが無いならそこまでは到底いかないとは思うわ・・・ただそれでなら両親が自重するかと言うと、まず自重しないでしょうね。だけどいくら言っても両親は止めようとはしないでしょう。他の人達の役に立てるならそれこそが幸せだと思う形で・・・そんな二人が私達の言葉を聞くと思えないし、満足しているというなら尚更聞きようがないだろうから忠告だけに済ませる予定よ」
「そうか・・・そうするくらいしか出来ないよな、そりゃ・・・」
そこでふとルークは両親に対して取る処置についてを聞くが、忠告止まりで済ませるとするそのリフィルの言葉に苦くも納得する。辛いとかきついだとかの気持ちを一切抱いていない二人相手では、それくらいにしなければ却ってまずい結果を招きかねないと話の中身から感じたために。









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