合間の一時はいかに

「その不安についてを言う前に、そうした理由は彼女が機を見てモースに情報を送りかねない可能性があったからよ。話を聞けば以前はアニスが内密にモースに情報を送って貴方達が危機に陥った場面は何度もあって、その極めつけはスパイだったことが明らかになった際のイオンが死ぬ原因を作った時の事・・・」
「っ!あれは・・・」
「そう、両親を盾に取られてよ。でもだからこそアニスはモースに反発は出来ないし、もしグランコクマに残らず貴方達と行動していたならその中で隙を見て貴方達の情報を流す可能性があった。そしてその情報のせいで貴方達が不利になる可能性も十分に有り得る・・・ローレライから話を聞いた私達はそういった事態を避けるために両親を保護した上でユーリ達にアニスに接触してもらい、スパイの事実を掴んでいることに加えて両親をダイクロフトで保護していると言ってもらったの・・・と言ってもそれはオブラートに包んだ言い方。実際はスパイの事実を公にされたくなくて両親の命が大事なら、以降はモースに情報を流すことなくグランコクマに残るようにすること。それが守れないなら両親の身の安全は保証しない、と言ったように言ってもらったのよ」
「!?」
・・・リフィルが口にしていったアニスと両親に対して取ってきた行動に、ルークは絶句した。まさかアドリビトムの面々がそんな脅迫という手段を用いるとは思わなかった為に。
「誤解の無いように言っておくけれど、両親に本当に手をかけようなんてつもりは私達には一切ないわ。現に今も部屋にこもってはもらってはいて何も聞かせてないけれど、食事も出しているし良からぬ事を二人にしてはいないもの」
「そうなのか・・・って、ちょっと納得しかけたけどそれだとまだ聞きたい事がある・・・」
「何かしら?」
「両親には何で事実を伝えてないんだ?リフィルの口振りからすると、話さないことは初めから決まっていたみたいな感じに聞こえるんだけど・・・」
「・・・それは言っても言葉として聞いてはもらえても、心の底から理解して同じ過ちを繰り返さないようにしようという考えに二人が至れないと考えたからよ」
「至れない・・・?」
ただすぐに酷いことはしてないと聞いて安堵するルークだったが何故事実を何も言わないのかを問うと、至れないとリフィルが眉間にシワを寄せながら目を閉じて至れないと評したことに首を傾げる。
「・・・アニスの両親は借金がどれだけの額かなんて気にしたことなどなく、尚も困った人の為ならと借金をし続けてきた。そして娘が悲痛な叫びを向けても、結局はイオンが死ぬまでその叫びに気持ちを受け止めることはなかった・・・両親がその後どういった生き方をして過ごしてきたかは分からないけれど、そこまでになってようやく色々と知った上で自分達の行動がどんな結果を招いたのかを知ることになるわけだけれど・・・流石にルークもアニスの両親の為にもう一度イオンに死んでほしい、なんてことを望まないでしょう?」
「それは当然だ!その為にイオンが死ぬなんておかしいとしか言いようがないだろ!」
「そう、私達もそう考えてはいるのだけれど・・・ならそう出来ないと言うなら、他に両親が心を入れ替えるような出来事があるかどうか、きっかけはこういうのがいいだとか考えることは出来る?」
「・・・いや、それは・・・正直、あの二人だとそれくらいのショッキングなことがないと、心変わりをするようにはとてもな・・・」
それでリフィルは意を決して目を開けイオンの死を引き合いに出した上できっかけについてを思い付くかを聞くと、最初は勢いよく否定したがすぐにルークは言葉を詰まらせる。両親が変わるにはそれこそイオンが死ぬほどの衝撃的な出来事が無ければまず有り得ないと、ルーク自身否定できなかった為に。









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