合間の一時はいかに

「取りあえずもう話は終わりでいいだろうから、戻ってもいいぞ」
「いや、ちょっと待ってくれ・・・こっちからも聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」
「あぁ・・・アニスに関して、皆が何かしてないかってことをだ」
「「「「っ・・・!?」」」」
それでユーリがもう戻ってもいいと言うが、ルークが聞きたいことがあるとアニスのことを切り出すと場にいた面々は程度の差はあれ驚きの表情に変わった。
「・・・成程、何かアニスに関係することをしたのは間違いないってことか」
「・・・アニスに会った時に俺達に何かされたって言われたのか?」
「まぁそんな感じじゃあるけど・・・アニスに酷いことをした、のか?あの感じだと、アニスにとって不本意なことをしたようにしか思えないんだけど・・・」
「・・・それに関しては私の方から説明するわ。アニスのことに関してはユーリ達が直接行動した訳じゃないから、私から説明した方がいいもの」
「リフィル・・・?」
ユーリは他の面々よりも先に冷静になり発言の意図を問い、ルークが疑いたくないといった視線を向けながら言葉を続けるとリフィルが前に出て説明役をかって出たことに眉を寄せる。
「・・・ルーク、貴方の予想通り私達はアニスに対してアクションを取ったわ。ただこれは貴方からすれば言い訳に聞こえるかもしれないけれど、彼女の立場に取るであろう行動を考えての物だったのよ」
「・・・一体何をしたんだ、アニスに?」
「正確に言うとアニス本人にではなく・・・彼女の両親に対してよ」
「アニスの、両親?」
リフィルは一応の弁明をすると共に何かをしたのはアニスではなく両親と言い、ルークはどういうことかと眉を寄せる。
「・・・アニスがイオンのスパイをやるに至った経緯については貴方の方がよく知ってるわよね?前の経験もあるし」
「・・・あぁ・・・両親の借金を返すためにモースのスパイをやらなくちゃいけないって理由だけど、両親に何を・・・?」
「分かりやすく言うならこのダイクロフトに連れてきたのよ・・・二人の意志を無視する形になったことは否定はしないけれどね」
「なっ・・・!?」
それで話を進めていく内にリフィルから明らかにされた行動にルークは絶句した。控え目に聞いても誘拐以外の何物でもない行動をリフィル達が取っていたということに。
「・・・何で、と言いたいかもしれないけれど二人の身柄の安全の確保を優先するにはこれしかないと思っての事よ」
「安全の確保って・・・」
「考えたことはないかしら?アニスの両親は何事もないといったように過ごしていたということだけれど、アニスはそういった状況だから両親には何も起こらないと安心してスパイをサボるような事は無かった・・・その事実が指し示すのは、アニスがもしサボったり反意を示すような事があればモースには両親を実際に人質か始末するかの行動をいつでも取れるという事の裏付けじゃないかって」
「っ!・・・それってつまり、両親には見張りがついていたっていうのか・・・!?」
「えぇ、私達が色々と調べていってそうだと分かったわ。と言っても二人は敬虔な教団の信者であることに加えて、ダアトから出るような仕事も担当していなかったから監視と言っても1日に何回か姿を確認すればそれでいい・・・と言った程度の物だったわ。ただそれでも一応監視には違いはないし、もしも事態が進んだ時に不穏な空気をモース側が感じて両親をどうこうすると言ったように進めるかもしれない・・・そういった危惧があるから両親の保護という形に出たのよ。アニスにとって不安を煽るような言い方でね」
「不安・・・?」
リフィルは手段が強引であったことは認めつつ両親を取り巻く環境がいかなものであったかを説明し、ルークはその中身に驚くものの更に不穏な響きの言葉に何があったのかと先を促すように声を漏らす。









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