合間の一時はいかに

「・・・って訳だよ。まぁピオニー陛下とも話をすることになるとは思っちゃいなかったからちょっと驚いたけど、話を出来たことは良かったと思ってる」
「そう、なんですか・・・」
・・・それで一通り話をし終わり、ルークが落ち着いた様子を見せる姿にエステルは対照的に表情を暗くする。
「・・・何と無くエステルがそんな表情になる理由は分かる。俺が別れを言いに言ったこともそうだけど、こうやって落ち着いてるっていうのが何か腑に落ちないとかそんな感じになってるって感じだろ?」
「っ・・・それが分かってるなら、何でそんなに落ち着いてるのか教えてください!ルークはガイ達と別れることを心から望んでいるんですか!?」
「それは違うって・・・俺もそれはガイ達と別れるような事を本気で心の底から望んでるって訳じゃないけど、ピオニー陛下と話をして何か落ち着いたって言うか・・・一区切り、ようやくつけれた気がしたんだ。前も含めてちゃんとした形で別れを交わさなかったのが、例え偶然だとか本当の事を言わないままだって言うのを差し引いても、見送るような言葉をかけてもらえたことにな」
「それは・・・」
「分かってる、それが自己満足だったりルミナシアのピオニー陛下達じゃ無いことは。ただそれでも、俺は直に別れを告げれた事で気持ちが落ち着いたのは確かなんだよ。別れたくないだとか言葉をかけたかったって気持ちに、ようやく一段落つけれたって感じにな」
「っ・・・!」
・・・穏やかでどこか悟ったようなそんな錯覚を感じさせるルークの微笑に、それまで責めるような言葉をぶつけてきたエステルも息を呑んで黙ってしまった。後悔だとか惜別の気持ちがなくなったとは言っていないにしても、精神状態としてはもうルークが落ち着いた物となっていると見えたが為に。
「・・・もうそこら辺にしとけよ、エステル。今のルークの気持ちを変えるのはすげぇ難しそうだし、そもそも今手のひらを返したようにルークが今までやってきたこととか態度を全く変えた所でガイ達も戸惑うだけだろうしよ」
「スパーダ・・・」
「それにもうやることもやっちまってんだし、今更それを台無しにするなんて出来るはずもねぇだろ・・・そんなことしちまったら最初からそうすんなってことになっちまうし、むしろ決意が出来て別れを言えるうちに別れられてるんだからよ。それとも今からルミナシアにオールドラントのどっちのガイ達も含めて、全員と問題なく仲良くなって暮らすなんて出来る訳ねぇのは分かるだろ?・・・2つの世界をまたいでなんてもそうだし、こっちのティアの事を聞いてよ」
「っ・・・それは・・・」
(あぁ・・・やっぱりティアについては皆の方も問題って言うか、話に上がってたんだ・・・仕方無いっていう言い方はしたくはないけど・・・)
そこに見かねたといった様子でスパーダが間に入ってきたが、その中身にさしものエステルも言葉を失う様子にルークもまた複雑な気持ちを抱く。ティアの事がアドリビトムの面々の中でも控え目に言って良く言われていないことを実際に知ったこともあるが、その中身を否定したりティアのフォローが出来ないとルークは思った為に。









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