合間の一時はいかに

「・・・ま、ティアの事に関しちゃお前らも俺ほどじゃないにしても何かしら言われんのは間違いねぇだろ。そんで俺に関しては間違いなくお前らよっか酷いことになんのは目に見えてる、それが分かっててあいつの近く・・・もっと言うなら行ける場所だとかここにいるなんて分かる場所に居たいなんて思わねぇよ」
「そ、それは・・・」
「・・・何かフォローだとか俺にそうするなとか、色々と言いたいのがごちゃ混ぜになってるってのは今お前の様子を見てて何と無く分かる。けどもう俺は決めたんだ。もうそれを変える気はない」
「・・・どうしても、なのか?・・・どうしても、そうするしかないのか・・・?」
「・・・もうそうするしか出来ねぇって思ったからそう言ってんだ・・・ただ本当はこういう風に言わねぇ方がいいんだろうとも思ったんだけど、もうこうやってガイに会うこともねぇんだろうなって思うから会いに来たんだ」
「っ!・・・止めてくれよ、ルーク・・・それじゃあ本当にこれが最後の別れみたいじゃないか・・・!」
ティアのその流れを継ぎつつルークはいかに自分がそう考え、決意が揺らがないのか・・・その一端が垣間見えるようないっそ爽やかな微笑を浮かべ、たまらずガイは辛そうに漏らす。もう会えないなんて否定してほしいと。
「・・・悪い、ガイ。最後の別れにするから俺はここに来たんだ・・・それは、聞けない」
「ルーク・・・!」
「(こんな言い方はしたくはないけど、こうでも言わなきゃガイは引かないだろうから・・・)・・・ガイ、俺と会えなくなることにそういった反応をしてくれることについちゃありがてぇとは思っちゃいる。でもお前もそろそろ色々と決めなきゃなんねぇこととか出てくる筈・・・このグランコクマからまたどうやって動くのか、それを決める時期がな」
「えっ・・・?」
対してルークは引かない意志を見せつつ話題と意識をずらそうとガイのこれからについてを口にし、戸惑わせる。
「謁見の間でピオニー陛下が言ってただろ。お前の身柄はマルクトが引き取るって・・・そこから先はお前とは今日まで会ってなかったから分からねぇけど、どういう仕事に就きたいだとかの打診なんかもあっただろうし何をしたいだとかって考えてもきたんじゃねぇのか?」
「あっ・・・そ、それは・・・」
「・・・んだよ。その様子じゃあんまりちゃんと考えてなかったっつーか、何か他に考えてることでもあったのか?」
「あっ・・・い、いやそれは・・・その・・・」
(やっぱりまだ父上達の事を消化しきれてないか・・・それはもう仕方無い、か。前のようにガルディオスだって明らかになる機会も、ホドの真実をピオニー陛下から知る機会もこれからも無いだろうしな・・・)
それでガイの今の身の上についてと今後の考えについてを聞くのだが、ハッキリした言葉が出てこず口ごもる様子にルークは感じる。ガイはやはり復讐のことを消化出来ていないし、そう出来る機会をこれから余程の事がなければ得られないだろうと。
「・・・俺の事を気にするのはいいって言いたいけどよ、まずは自分の事をどうするかを考えろよ。俺の選んだことがどうかって思うのはお前の勝手じゃあるけど、今のお前に人の事を言えるような余裕なんてねぇだろうし、俺のことはどうでもいいからお前の事が気になるなんて言われたって正直説得力なんて俺には感じられねぇしな」
「っ・・・それは・・・」
「・・・じゃあな、ガイ。何を感じてそう悩んでるかは知らねぇけど、それがちゃんと大丈夫な形で解決するようにとは思っといてやるよ」
「あ・・・・・・ルーク・・・」
そんなガイに暗に考えの改善がなければ留まるつもりはないといった上で部屋を出ていくルークの後ろ姿に、ガイは結局は言葉を強く発する事は出来ずにただ力なく見送るしか出来なかった。ルークの言葉が重くのし掛かり、どうにも出来ない状態に陥る形で。









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