合間の一時はいかに

「・・・いいわよ、グランコクマ近くに行くように装置を設置してあげる」
「あぁ、悪いヒルダ」
・・・それでミュウを部屋に置いてきて一人でアドリビトムの面々の所に向かったルークだが、会ったのはヒルダ一人。
そこで心なしか他のメンバーに比べて関係性が薄いのもあり、内心気楽に話さなくていいことを話さなくて済むとルークは別れを告げに行きたいと話し、ヒルダの了承に素直に礼を言う。
「それはいいのだけれど・・・そうすると言うなら貴方はガイ達だけじゃなくジェイド達もそうだけど、何よりあのティアと別れの言葉を交わすつもりかしら?」
「あ~・・・正直、ティアに関してだけはそうせずさっさと逃げた方がいいかなとは思っちゃいる・・・卑怯みたいな言われ方をされることは間違いないと思うけど、それで何を言ってもティアが納得してくれると思えないっていうか・・・そもそもならどうしてほしいのかって明確な答えをティアが口にしてくれるかどうかも怪しいしな・・・」
「そうね・・・分かったわ。それ以上聞かないから装置の前に行っておいてちょうだい。すぐに私も行くから」
「あぁ、そうするよ」
続けてヒルダから特にティアを強調するよう別れの言葉をかけるかについてを聞かれ、そのつもりはないと複雑な内心を滲ませルークが返すとサッと会話を切り上げられ装置の方に行くように言われて素直に向かう。
「・・・馬鹿ね、ティア。相手がルークに限らず自分がしてほしいことというのは、悟ってもらうことでも察することを願うのでもなく、言葉にしなければ普通は伝わらないことよ。相手にこういうことがしたいと言わせるためにもね」
場に残ったヒルダはそこでティアに対する呆れを存分に含んだ一人言を口にする。ルークが逃げ出すといった結論を出すにまで至ったのは、口数の少なさが原因とばかりに。
「まぁ今更だし構わないけれど、取り敢えず後で皆に報告しなきゃね。ルークの行動にその考えについてを・・・」
そしてヒルダは気持ちを切り替えつつ髪をかきあげながら冷静にルークの後に続く。この会話についての報告をすることを口にしてから。









・・・それでヒルダの手助けを借りてグランコクマ近くに降りたルークはすぐに宮殿に向かい、ガイにアニスの二人の居場所を聞き、一人部屋を使っていると聞いたことから一人づつ部屋を訪れることにした。



「・・・よう、久し振りだなガイ」
「ルーク・・・」
「あ~・・・痩せたか、少し?」
「ちょっと・・・な・・・」
それで最初にガイの元に来たルークは挨拶もそこそこに、見た目に言及すると苦々しいといった様子の肯定が返ってくる。目の下のクマや頬のこけたその様は自分でも結構酷いものだと自覚しているのだろう。
「だが今はそんなことより、どうしたんだルーク・・・いきなりグランコクマに来て・・・」
「あ~、なんつーか・・・分かりやすく言うなら、別れを言いに来たって所だな」
「え・・・別れ・・・?」
「まぁ色々あってな・・・もうちょいしたらまずガイともそうだけど、他の奴らとも会うことが無くなるだろうって思ってな・・・だから最後に挨拶でもしとこうかと思ってな。会わなくなる前によ」
「会わなくなるって・・・それってお前がキムラスカに戻るからマルクトにいる俺に会えないだとか、そういう単純な話じゃないのか・・・?」 「まぁ、そう単純な話じゃねぇな・・・だから会いに来たんだ。もうそうするって俺は決めたからな」
「・・・っ!」
ガイはそれでもいつもの通りにしようと用向きを問うが、ルークがきっぱり別れを告げに来たと迷いなく口にする姿に息を呑む。まさかそんなことを言われると思ってなかったといった様子で。









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