合間の一時はいかに

「そもそもさ・・・俺からすりゃ、前のオールドラントでアッシュがルーク君の事を最後の戦いで後を託すためだったり色々な要素が混じった上でも、ルーク君を信じるなんて選択をしたこと自体がかなりすごい事だと思うのよ。例え追い詰められていた部分が多いって言っても、普段通りのアッシュなら自分がやるって言って聞かなかっただろうしね」
「・・・何が言いたいんだよ、ゼロス?」
「要はさっきの話も併せて、少なくとも今のアッシュにはそんな奇跡にも近いことを期待することはしない方がいいってことよ。特に今は自分の事がどうなるのか分からないのもあるし、ルーク君に負けたくないと思って必死に修行してる・・・残り3日もない内でそれをやり遂げるなんて無理だし、ナタリアちゃんにちょっかいをかけようもんなら尚更アッシュは意固地になる・・・要は八方塞がりなのよ。ルミナシアでもそうだけど、この今のオールドラントでのアッシュをどうにかするための手段をどうにかなんて出来ないって意味でね」
「・・・もしそれが出来たとしたら、それこそさっきゼロスが言ってたようにナタリアをどうにか誰にもバレないように考えを変えさせるくらいしかないんだろうけど・・・今の状態じゃ時間が足りないんだよな?」
「どうやったって無理だね。ナタリアちゃんいい意味でも悪い意味でも自分の意見や考えを簡単に変えられるような娘じゃないし、アッシュの事じゃ尚更そうなる。だからこそナタリアちゃんが頑張るべきなんだって言葉でいくら言った所で、決心なんてつかせることは出来ない・・・ルーク君自身はそうは思っちゃいないだろうし言葉が悪いのを承知で言うけど、事情があるのを込みで言ったって結局ナタリアちゃんも何も知らなかっただろう頃のルーク君と同じ・・・いや、それ以上に世間知らずなお姫様なのさ。自分は王女だ、自分の言うことに活動は正しいものだ、だけどアッシュとルークの関係についてはどうしていいか分からない、誰かどうにかしてほしい・・・いつも何かをする時には城の内外を問わず誰かいて共に事に当たってきて、本当に自分の力量に判断だけで挑まないといけない事に出会うことなんてナタリアちゃんは無かった。そう、ルーク君達の関係っていう物以外にはね」
「っ!・・・それが、ナタリアが世間知らずって言った理由なのか・・・」
「ナタリアちゃん自身は自分の足や目で見識を広めて世界の実態から目を背けてないっていうような自負を持ってるんだろうけれど、国の人間がそんな王女って立場の人間にわざわざ過酷だったりガチで危険な場所に向かわせるわけないじゃん。極端な話矢に弾に剣が飛び交うど真ん中の戦場中の戦場もそうだし、腕や足がちぎれてたり臓物が飛び出てるようなマジに酷い怪我人がいるような場に行ったりしてたらナタリアちゃんの性格からして、戦争になんて絶対に私の目が黒い内は許さないって息巻くか逆にトラウマを負ってしまうか・・・そのどっちかだろうけど、ナタリアちゃんはそうやって気遣われてる事に気付かないまま生きてきた。だからそういった点でルーク君より世間知らずって言っただけど、そこを自覚させるのは俺らがやることでもましてやルーク君がやることじゃない・・・そこから先はナタリアちゃんが後で自覚することで、他ならないルーク君が出した結論とアッシュの態度で噛み締めるべきなんだよ」
「・・・そう、なのか・・・」
・・・ゼロスにしては長く、それでいて徹底的にナタリアに対して辛辣な言葉を次々に明るく吐いていく。
ロイドはその言葉に反論したげではあったが、その中身に次第に重く受け止めていく。ナタリアに対して酷くこそあるが、納得出来ない中身ではなかったために。









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