合間の一時はいかに

「要はそこには言葉に力をつけようがねぇんだよ。よくある本の中での話だったら精一杯に出したか弱い声が誰かに届いて、だからこそそれを達成させるために動くなんて展開になんだろうが現実・・・いや、今の俺とアッシュの関係をお前がどうしたいかって事には通用しねぇ。何せ俺にさえこんな小さくて自信の全くないまともな言葉にすらなんねぇ言葉しか出せねぇのに、アッシュにその言葉を今程度ですら出せると思うのか?」
「っ!!・・・それは・・・それ、は・・・」
「・・・だから無理すんなって言ったんだよ。この旅に来るまでのお前だったら普通にどころかむしろ強気に言葉を発してたのに、俺らの事に関しちゃ全く逆・・・オマケにどうしたいかにどうするべきかの考えもちゃんとまとまっちゃいねぇ。そんななのに願望だけがこもった自信って力のない言葉なんか絞り出されても、俺もだしアッシュもアッシュで聞いてたらどうするかっていうかどうしようってなるだろうしよ」
「っ・・・!」
その言葉の意味が何かを話すルークだが、ナタリアはそれらを受けて辛そうに表情を歪める。二人に対してまともな言葉すら向ける事が出来ない、そうルークから言われたも同然の為に。
「・・・ま、そういうこった。何か言うんならせめてもうちょい具体的にどうしたいかもだけど、自信もって声高に言えるようになってからにしてこい。じゃあな」
「お待ちになってルーク!・・・そんなことを言うと言うことは、貴方はアッシュとのことを何かしら解決するともう決めているのですか・・・?」
「・・・まぁそりゃな」
ルークはそこまで言って場を離れようと改めて背を向けるが、ナタリアが呼び止め考えが固まっているのかと不安げに問いを向けてきたことにそのままの体勢で答える。
「では、貴方はどのようにしたいと考えているのですか・・・アッシュとのことを・・・?」
「・・・お前も何となく分かってんだろ?アッシュが俺と戦うことを望んでるってことは」
「では、貴方は・・・それに応えるつもりだと言うのですか・・・?」
「応えなきゃ俺以上にあいつがこれから先、俺に対しての気持ちをどういう形であっても抑えきれるなんてことはねぇだろう。それに俺もあいつとの決着をつけることに関しちゃ必要な事だって思ってる・・・だから俺には受けないなんて選択肢はねぇよ」
「そんな・・・どうにか仲良くすることは・・・」
「無理だ。俺がどうこうして簡単に解決するような問題だったら、始めからもう少しはまともな方向に行ってただろ・・・少なくともアッシュにとっちゃこれはやらなきゃなんねぇことだ。それを無理矢理止めた所で逆効果にしかなんねぇよ」
「そんな・・・」
ナタリアは悲痛な想いを乗せてどうにか穏便にといったように声を向けるが、振り向きもせずにルークが無理であると返していった中身の返答をしたことに更に辛そうな声と表情に変わる。
「・・・もう無理してどうしようかにどうしたいかなんて考えんな。お前がどんな風にしたいかの最善が何なのかは何となくは分かるが、今言ったように力を込めてそれを言えないようじゃそうしない方がいい」
「ですが・・・」
「ま、出来るだけなんとかしてやっからアッシュの所に行っとけよ。じゃあな」
「あっ、ルーク・・・」
そしてルークはとうとう振り向くことなく手を頭辺りで振りながらその場から退散していき、ナタリアは呼び止めようとするが力ない声でもあったためか立ち止まることなく何とも言い難そうな様子で一人立ち尽くすだけになってしまった。









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