合間の一時はいかに

「・・・ん?ナタリアか?」
「っ、ルーク・・・何をしているんですか・・・?」
「単に時間があるから散歩しようとしてただけだけど・・・そっちにはアッシュがいんのか」
「はい、そうです・・・」
「・・・しゃあねぇな。そっちには行かねぇようにしねぇとよ・・・」
・・・それでダイクロフトの中を歩いている内に向こうから歩いてきたナタリアと出会い、ルークは演技の仮面を被りめんどくさそうに頭をかきながら背を向ける。
「お待ちになって、ルーク!・・・私とは顔を合わせたくはないのですか?」
「別にんな訳じゃねーよ。多分お前アッシュに飲み物か差し入れでもしようって場を離れたんだろ?そうだと思ったから俺は別に邪魔するつもりはねぇって思ったし、間違いじゃねぇならさっさと用意して持ってってやれよ」
「っ・・・何故、貴方はそんなに素っ気なくなってしまったのですか・・・?・・・前の貴方でしたら、こんな時は私に怒るなり何なりしていたはずなのに・・・」
「・・・んじゃナタリア、お前は俺に怒って欲しいのか?何やってんだよお前とか言われる形でよ」
「そ、そんなことはありませんが・・・」
「はぁ・・・(・・・今のナタリアに対しちゃ下手に厳しくするのもそうだけど、変に気を遣いすぎる事を言うのもダメだな・・・その中間点辺りの言葉をかけないと・・・)」
ナタリアはその姿にルークを慌てて呼び止め何故と変わったことを問われるが、ハッキリと強く言葉を紡げず視線をさ迷わせてばかりいる様子にルークはタメ息を吐きつつ内心でどうするかを決める。ちょうどいい言葉をかけることを。
「・・・ナタリア、正直に答えろ。ナタリアは俺にどうしてほしいんだ?」
「えっ・・・どう、とは・・・?」
「だーかーらー、お前は俺に何を求めてんのか少しでも言葉にしてほしいんだよ。アッシュに対しての遠慮だとか周りの状況が昔と比べて違うからとか話しにくいこともあんだろうが、今は周りには誰もいねぇからこの話を聞かれる心配もねぇ・・・だから今の内に話したいことがあるなら言えよ。じゃねぇと俺も色々と答えることが出来ねぇんだ。話をすんならさっさと腹をくくってくれ」
「腹をくくる・・・わ、私は・・・その・・・」
それでルークは仕方無さそうに周りを見てから話をするように言うのだが、そう言われても踏ん切りがつかずしどろもどろなナタリアの様子を見てまた頭をかく。
「あ~・・・もう無理すんな。そんな姿見せられっとこっちが悪者みたいな気分になるじゃねーか」
「で、ですがその・・・私が言いたいことは・・・」
「言いたいことが言えねぇんなら、そいつは言葉にするべき言葉じゃねぇ。気持ちに整理がついてねぇんなら尚更だ」
「えっ・・・?」
ルークは面倒そうに話さなくていいと告げるとナタリアは何かを返そうとしたが、続けられたルークの言葉にキョトンとする。どういうことか分からないとばかりに。
「何となくこうだろうって程度だけどよ・・・お前が何か言おうとしてることってアッシュと俺の事だろうとは思う。今までの感じから考えるとな」
「それは・・・」
「いや、答えなくていいしむしろ答えんな。言いたいことを自信を持って言葉に出来ねぇ今のお前の言葉は、例え本心を精一杯に口にした物であっても・・・いや、精一杯に口にしたならこそダメなんだよ。そこにはそれ以上がねぇんだからな」
「それ以上が、ない・・・?」
そのままにルークは話を続けるのだがその中身にナタリアは訝しげに表情を変える。それの何がいけないのか分からないといった様子で。









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