繋ぎ止めるべきモノ、断ち切るべきモノ

「・・・それで俺達は先にこちらへと戻ってきた、というわけだ」
「成程・・・そういう訳だったのか、ティアのあの様子は・・・」
・・・それで時間は戻り、ダイクロフトの中。
説明をし終わったウィルに、ユージーンを代表として集まっていた他のメンバーもどうとも言えない様子を浮かべる。
「一応念の為に聞くが、ティアが何故地核でそんなことをしたのか心当たりはないか?」
「フン、俺がヴァンの妹が何を考えているのかなんざ知るわけねぇよ」
「私もですわ・・・何故彼女がそんなことをしたのか・・・」
「当然私も知りませんが・・・本人にそれを聞く気は無いのですか?貴殿方からそんなことになった訳というのは」
そんな雰囲気の中でウィルはアッシュ達に心当たりについてを聞くと、当然知らないといった答えが次々返ってくる中でジェイドが何故当人に聞かないのかといった声を向けてくる。
「訳を聞こうとしてもちゃんとした理由が返ってくるかもそうだが、下手に揉めれば俺達が戻れなくなる事態も十分に有り得たから聞こうという気にもならなかったんだ・・・まぁ今言ったよう、理由を答えてくれるとはとても思ってはいないがな」
「・・・確かにそうでしょうね。特にあの様子を見る限り、意地になってというよりは弱って何も答えられない状況がしばらく続くと見ていいでしょうから」
ウィルはその理由についてをティアが去った方向を見ながら告げ、ジェイドもまたそちらを見ながら納得する。今のティアでは答えられるかどうかも、非常に怪しい状態にあると。
「・・・とりあえず彼女に関しては今日の内はそっとしておくとして、各地に報告に行かないかしら?今頃どうなっているか気になっている人達は多い筈でしょうしね」
「そうだな・・・5日間タルタロスに乗っていたからお前達は休憩しても構わんと思うが、ルークはもしものことを考えてダイクロフトに残らず俺達と行動を共にした方がいいだろう。相当言われてきてさっきのあの様子だ・・・何か突発的にお前の方に突撃してくることも有り得ん事はないと思うぞ」
「・・・わーったよ。別に俺は疲れちゃいねーし、お前らに付いていくわ(流石にそんな事態は嫌だしな・・・)」
それでジュディスがその流れを変えるよう各地を回るようにと言い出し、頷きつつもユージーンはルークに対して付いてくるように言うと、ルークは内心で重大な事と思いつつ表では面倒臭そうに了承を返す。
「その屑が来るというなら俺はいかねぇ・・・ここにいるから話が一通り終わったらこっちに来い。どうせそう長い時間もかからんだろうから俺がいてもいなくても同じだろうからな」
「あ、アッシュ・・・」
「・・・あんたも行きなよ。どうせ報告参り程度だ。バチカルも今なら問題はないだろうしこっちが報告にいった時に機嫌が悪くても面倒だしさ」
「は、はい・・・では・・・」
だがアッシュがそこでルークと一緒に行くことを拒みさっさと場を離れていく様子にナタリアが困惑する中、ナナリーが呆れたようにヒラヒラと手を振り追い払うように言うと戸惑いつつも後を追っていく。
「・・・もう別に私達の方を気にしなくてもいいんですけどね。アッシュさんの元に行きたいと言うなら誰も止める筈なんてないし、普通に見送るのに・・・」
「それこそ気にしない方がいいわよ、アニー。快く私達が送り出すといったように言っても、むしろその言葉が重荷になってより一層私達にどうしようかっていう視線を向けてくるだろうから」
「確かにそうなりそうですね・・・」
そんな姿にアニーは正直うんざりしているとばかりに取れる声で呟き、ジュディスが気にしないように言うと確かにと漏らす。口で言ってもナタリアは改善出来ないだろうと。













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