繋ぎ止めるべきモノ、断ち切るべきモノ

「けど大丈夫なのか、ルーク?あの様子では諦めたような様子では無さそうだが・・・」
「あ~、そこんとこはこの5日間はお前らの誰かと一緒にいさせてもらうわ。お前らからすりゃめんどくせぇとかうぜぇとか思うかもしんねぇけど、そうしねぇとマジで俺一人になった瞬間がどうなるかわかんねぇしよ」
「それは構わんが、タルタロスを動かす際の組分けに関してはティアと一緒というのもあまり良くないだろう。今ティアは部屋で休んでいるから今から動かすメンバーの中に入って、あまり顔を合わせる時間を少なくした方が互いの為にもいいだろうからな」
「んじゃそうするわ。俺も面倒なことになってほしくないしよ」
続いてウィルがそれでも心配といったように声をかけた上でティアと少しでも離れるよう発案したことに、ルークはありがたいとすぐに頷く。
(さて・・・どうなるかな。あのティアの様子を見る限りじゃ5日の間に一回来るか来ないかって所だろうけど・・・まぁ皆の内誰かと一緒にいる時は大人しくはしてはくれるとは思うけど、やっぱ油断は出来ないな・・・とりあえず気は抜かないようにはしておこう・・・)
そしてルークは内心で考える。ティアの対応をここで気を抜いて誤る訳にはいかないと・・・


















・・・ただそういったように警戒心を抱いていたルークだったが、交代の時も含めて3日の時間の間でティアが話をしたいと言ってきた事はなく意外と平穏な時間を過ごした。交代の際に顔を見ると思い詰めたような表情をしていることに若干心こそ痛みはしたが、下手に自分から接触するわけにはいかないとあえてルークは見ないフリをした。



(・・・ん~・・・予想外にティアが来ないな・・・頻繁に来ないとは思っちゃいたけど、4日目になっても来ないってなると本当にどうしようかってマジで考えてんのかな・・・俺と話すことについて・・・)
・・・それで4日目の朝、ベッドに腰掛けながらルークはティアが未だに自分の元に来ない事についてを考える。
「・・・どうした?まだ交代の時間までは大分あるが寝てなくていいのか?」
「あ~、起きたのかリオン?」
「あぁ・・・何か考え事か?」
「・・・ちょっと外に出るぞ。ミュウを起こしたくはねぇ」
「あぁ」
その様子を近くのベッドから起き上がったリオンが近付いて話し掛けてくるが、枕元でまだ眠るミュウを見てルークが小声でドアを指差した事に頷いて共に部屋を静かに出ていく。



「・・・それで、何を考えていた?」
「ティアがこの3日の間に俺の所に全く来なかった事についてだよ・・・いつ来るかいつ来るかって心構えだけはしてたけど、全く来る気配が無かったからどうなのかと思ってな」
「成程・・・そういうことか」
それで部屋の外に出て早速説明を求めるリオンにルークは素直に答え、その訳に納得する。
「・・・まぁあれだけの話をした後の事だ。勝算もなくお前に話を持ち掛けるような事は出来んと判断したんだろう」
「勝算って・・・」
「言い方がどうかと思うみたいなように反応しているが、ティアからしてみれば同じことだ。奴からしてみればいかにお前と話をした上で自分の思い通りに事を進めることが出来るか・・・これに尽きるだろう。だが今の状況ではそこに至るまでの過程は奴にとっては苦難そのもの・・・勝ち目がなければ勝負など到底出来んような物だ」
「・・・だから勝算って言ったのか・・・」
そのままリオンはティアが来ない理由についてを推測し、ルークも何とも言い難そうに納得する。リオンの言葉のチョイスはともかく、言っていることは全く間違ってないと感じてしまった為に。












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