分かたれた道の再度の交錯

「話は決まり・・・だな。ではルークよ、一足先にバチカルに戻るがいい。私もティアにガイ達と合流次第すぐに戻る」
「・・・は~い、わかりました・・・じゃあ師匠、失礼します・・・」
そしてヴァンが話をまとめた所でルークは明らかにテンションダウンして肩を落とし、一応の挨拶をしてとぼとぼと国境の方へと歩いていく。ジュディス達もヴァンに一礼をしてその後を付いていく。



「・・・待て!ここから先に行くには旅券が必要だ。旅券を見せろ」
「旅券ね・・・ほらよ」
そして国境の前に立つ兵士の制止の声に先程渡された旅券をおざなりに渡すルークだが、旅券に目を通した兵士の姿が驚きに震えたのを目撃した。
「・・・これはケセドニアでアスターと並んで豪商として知られるブライアンのレザレノ印の旅券・・・初めて見たが、これを持っているとは・・・失礼した、どうぞお通りください」
「・・・おう(アスターと並ぶ?レザレノ印?・・・え?またなんか違いが出てきたけど・・・レザレノって確かルミナシアにあったよな、レザレノカンパニーって・・・どう言うことだ?)」
それで感激した後に通るように言う兵士に言葉少なく旅券を受け取るも、以前との違いとルミナシアで聞いたことのある単語が出たことにルークは何なのかと内心で考えていた。
「・・・なぁ、ブライアンにレザレノってなんなんだ?そんなすごい奴なのか?兵士が驚いてたけど」
「はい、ブライアン・・・私達は知り合いなのでリーガルさんと呼びますが、ケセドニアでアスターさんと並ぶ豪商として有名な人ですよ」
「知り合い?」
「あの人には私達のギルドによく仕事を回してもらってるのだけれど、その縁ね。こうやって旅券をもらったのも」
「ふ~ん・・・(リーガル=ブライアン、か・・・レザレノカンパニーの代表の人物だったよな、確か・・・俺は会ったことはないけど、その人もこの世界で皆と同じように活動してるのか・・・)」
ルークはそこまで考え素直に後ろから付いてきたジュディス達に歩きながら疑問をぶつけると、アニーとジュディスから親密だと名前と共に返ってきた言葉に気のない声を返しながらまた奇妙な偶然だと考える。ルミナシアで知った名前の人物がいることに。
「ま、それは置いといて・・・どうする?このまま港まで直行するかい?」
「ん?いきなりなんなんだよ?」
「しいなさんは今日はここで休まれてはいかがかとおっしゃってるんです。このまま港まで行こうと思えば行けますが、これまで神託の盾を避ける為に強行軍を続けてきましたから休むのもいいのではないかと」
「休むねぇ・・・いいんじゃねぇかそれで?正直だりぃし、いい加減俺もベッドで寝てぇしな・・・(皆も疲れてるだろうし、今日くらいは別にいいか)」
そんな時にしいなからの声とすずの補足による提案にルークは表向きは気だるげながら賛同する、内心で皆に休んでもらうためにもと考えながら。















・・・それでルーク達は国境を越えてキムラスカ側の休憩所を使い、一晩を過ごす事になった。尚マルクト側にいるヴァンと離れる形になったことはルークにとって幸いなことだった。この世界のヴァンとこれからどう接すればいいかわからなかったために。ちなみにヴァンと離れて休まなければいけないと言われ最初こそルークはごねたが、それならまたマルクトの方へと戻らないといけないと言われ、それは面倒だから我慢すると嫌そうな顔を浮かべて済ませておいた。






・・・そして夜。皆が寝静まった頃になったと確認し、ルークは休憩所を抜け出し外に出た。










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