繋ぎ止めるべきモノ、断ち切るべきモノ

(・・・どうなの・・・ルークが嘘をついているとは思えないけど、だからといってあの強さがあんな短期間に得られるなんてとても有り得る事じゃない・・・ただこれ以上ルークが嘘をついてるかどうかを聞いても、私がそれを信じなかったら信じなくていいって言っていてもうそれで終わりってなる・・・どうすれば正解なの、これは・・・!?)
一方でティアはそんなルークの目論見通り、八方塞がりと言ったように焦りを盛大に感じていた。強さについての理由は疑いしかないが、そこを突きたいのに突けないと嘘を言っていないと感じたこともあり。
「・・・つー訳だ。それでもこれ以上何か言うっつーんなら、本当の事を言えだとかってだけの事を言わずにちゃんと受け答え出来るような質問をしろ。ただお前が納得出来るような答えじゃなきゃ許さねぇってんなら、何度も同じようなやり取りするなんざめんどくせぇから最低限にしか答えねぇぞ」
「っ・・・(どうするの・・・こんな言い方をされたんじゃ、それこそ下手な言い方じゃ追求が出来ないじゃない・・・)!」
更にそこでルークが質問の仕方を限定しなければ同じような対応をすると言ったことで、ティアはまた一層追い込まれる。下手な質問が出来ないと考え、どうするべきなのかと。
「・・・どうやら質問はもう出てこない、もしくは上手く言葉にしたいけれど出来ないのどっちかに見えるけれど・・・どっちかしら?」
「っ!・・・後者よ・・・」
そんな姿に内心を問う声を向けてきたジュディスに、ティアは言葉を選べないだけと苦く返す。まだルークの事を諦めきれないが為に。
「だったらこのまま話をするのではなく、今日の所はこれで終わりというようにすればどうかしら?これから5日間、タルタロスを動かす時に集中してさえくれれば時間はそれだけあるのだから・・・どうかしら?」
「(気に入らない、けれど今のままじゃどうすればいいか分からないから・・・)・・・分かった、そうさせてもらうわ」
「・・・と言うことだけれど、どうかしら?」
「俺としちゃちゃんと会話が出来るような状態にさえなってくれりゃそれで構わねぇよ」
その答えに時間を取った方がいいと勧めるジュディスにやむなしとティアは頷き、自身に話を振られたルークも反論せずに頷く。
「では今日はもうティアは休みなさい。今からタルタロスの操縦に回るのは辛いでしょうしね」
「・・・分かったわ、交代の時間になったら呼んでくれれば行くようにするから・・・」
そして最後に今から休むようにと勧めれば、ティアはなけなしの冷静さを振り絞って交代の際の事を口にしてからブリッジを後にしていく。力強さの欠片もない足取りで。



(一先ずティアは何とかしたけれど、あの様子じゃまた来るよな・・・俺の事に関して)
それでティアがブリッジから姿を消したのを見届けたルークだが、やはりまだ安心出来るような状態ではないと感じていた。ティアが自分に対する何かを諦めた訳ではないと。
「・・・大丈夫かい、ルーク?」
「あ~・・・別に問題はねぇよ。そんな殴りあって話をしたわけでもねぇんだし」
「ナナリーさんが言いたいことはそういうことじゃなくて、精神的に大丈夫なのかと言いたいんですよ。今のやり取りは私達からも見ていて緊張感が伝わってきましたからね」
「だから問題はねぇっての。俺からすりゃ言わなきゃなんねー事をちゃんと言うつもりだっただけで、むしろ言うこと言えた事にすんなり引いてくれた分は楽になったしよ」
それでルークに近付き気遣いの声を向けてきたナナリーとアニーの二人に大丈夫と手をヒラヒラ振りながら返す。そんな気にする程ではないと。








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