繋ぎ止めるべきモノ、断ち切るべきモノ

・・・ここで時間は五日前のタルタロスに乗った場面に戻る・・・









「・・・んじゃ聞きたいことがあんならさっさとしろよ。この後俺らも俺らでタルタロスを動かさなきゃなんねぇんだから、あんま時間を使いたくねぇし疲れたくもねぇしよ」
「・・・じゃあ早速聞くけれど、何故貴方は兄さんとあそこまで戦えたの?理由がなければあそこまで戦えるなんてとても信じられないわ・・・」
ジュディスの言葉から早速本題とタルタロスを動かす面々も耳を傾ける中でルークは質問し、ティアは聞きたかったこと・・・ルークの剣の腕があまりに立つことについてを問う。
「・・・何故、っつっても俺は師匠に裏切られた後から鍛えてきたからだよ。お前や他の奴らが知らない所でな」
「嘘を言わないで!だったら兄さんがあんな風に言うわけないし、戦えるはずないじゃない!」
「・・・だったら俺にいきなり何か特別な力が降って湧いてきたなんて言われて、お前はそれで納得出来んのか?」
「えっ・・・!?」
「・・・もう一回と言わず何度だって言ってやるけど、俺があんな風に戦えるようになったのは自分でどうにか出来ないかとか強くなりたいって思った上で色々考えてやってきた。そしてその中で超振動についてもどうにか出来ないかって、自分の中で四苦八苦しながらどうにかちゃんと制御出来るようにって身につけたもんだ・・・けどそう言っても信じちゃくれねぇってんなら、もう降って湧いてきた力で構わねぇよ。そしてそれで納得出来ねぇって言われたって俺はそうだとしか答えねぇ・・・それが俺の答えだ。俺の言うことを全く信じねぇし納得出来ねぇって言おうがなんだろうがだ」
「・・・っ!?」
ルークはその問いに答える物のティアはその答えに納得出来ないと即刻怒りながら返すが、その激しさと対照的に静かながら力のある声と中身で引かないといった姿勢を見せるルークにたまらずティアは息を詰まらせる。
(あ~・・・まぁ嘘をついちゃいないし本当の事を言っちゃいるんだけど、こういう言い方で押し切るしかないのはちょっと心苦しいな・・・これがティアの追求を避けるのに一番効果的だってのは分かるからやってるんだけどな・・・)
そして内心でルークは表向きの断固とした態度と違い、申し訳無い気持ちを抱いていた。騙しているようだと。



・・・ルークは考えていた。いくら避けようともティアが自分の事に対して追求をしに来るのは距離が近いのもあり、まず無理だろうと。ならばどのように自分の事を言わないのかと考えた結果、全部が全部嘘で固めた話をするより話せない部分を隠した真実で押し通すことにしたのだ。

現にルークは嘘は一つもついてはいない。ヴァンに騙されてから強くなったことも、超振動の制御に苦労したことも・・・ただそれが前からの経験が積み重なっていることに加え、そこについてを口にしてないだけだ。

ここで全部嘘で塗り固めた話をしたなら元々が息を吐くように嘘をつけるタイプとは程遠い自分に、やけに今の自分に対して執念深いティアでは何か矛盾点に気付いて誤魔化そうにも答えるようにとしつこく追求してくる可能性は十分有り得る・・・そうルークは思った。

・・・そして今、強く真実のみを伝えると決めたルークの言葉と決意がティアをたまらず引かせたのだ。話してない部分はあれども嘘自体はついてないというルークの態度に滲む自信が、ティアの執念の入り込む隙を見付けさせなかったが為に。










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