前と違う結末への序曲

(一緒に乗るべきか、拒否するべきか・・・皆のこともあるから拒否した方がいいとは思うけど、拒否してもそれですんなり済むと思わないからならまずは真意を聞かないと・・・)
「・・・お前が俺に一緒にタルタロスに乗ってほしいって本気で思ってるってのは今の態度で何となくは分かった。けど、だ・・・なんでお前がそこまで俺と一緒に乗りたいかに何を話したいのか、その理由についてを少しでもいいから今ここで言えよ。じゃねぇと今までの事もあっから、お前とタルタロスに乗るなんてゴメンだ」
「っ・・・!」
ルークはその気持ちを生半可でないと感じたが、どうするかを判断する為に言わないなら引く気はないといったように返すとティアはグッと息が詰まった様子になる。



(ルークがこんなことを言い出すなんて・・・落ち着くのよ、ティア・・・ルークが言っているのはあくまで何について話をしたいのかであって、全部話せとは言ってはいない・・・ならその少しを言えばいいのよ・・・ルーク以外に突け込まれず怪しまれない程度に・・・!)
だが今までのティアだったならここでキレていいから来いと一点張りだったろうが、怒りを必死にこらえながらも頭を働かせる。ここで失敗するわけにはいかないとばかりに、普段のティアでは有り得ない小賢しい事をルーク惜しさの一心で考える形で。
「・・・・・・理由は色々あるけど、貴方が何故あそこまで兄さんと戦えたのか知りたいのよ」
「・・・別に後でもいいだろ。何でタルタロスに乗る時に俺との話が必要なんだよ?」
「・・・後でと言うけど、貴方が話をする機会がいつ訪れるのか分からないからよ。これから先色々あって、ゆっくり話すことが出来る時間が取れるかどうか分からないならタルタロスで話をするのがいいと思ったの」
「・・・そうか・・・」
それで言葉を選びつつも今までになく感情を抑えた冷静なティアの言葉に、ルークは少し考え込むように首をひねる。



(どうする?今のティアが出した要望を単純に俺が嫌だって怒って拒否する事は出来なくはないだろうけど、それで簡単にうやむやに出来るほど今のティアは甘くない気はする・・・それにあまり時間をかけすぎるのも今の状態じゃあんまり望ましい事じゃないし、ここは頷かないと話が進まないか・・・)
「・・・わーったよ。そこまで言うんなら俺もタルタロスに乗ってやるよ」
「ホントね!?」
「ただし!・・・お前と二人きりで話すなんて状況はゴメンだ。こいつらの誰が付いてくるのかは知らねぇけど、最低一人は誰か一緒にいる状況じゃねぇと俺は話さねぇぞ。二人で話してたらお前が俺の答えに納得出来ねぇからブチギレた、なんて展開俺はぜってー嫌だかんな。だからそれを飲めねぇんなら俺はタルタロスには乗らねぇぞ」
「っ・・・!」
それでルークは話をするのを避けるのはもう良くないと状況から判断しつつも条件を飲まなきゃ拒否をすると強く強調し、喜色を浮かべた表情から一転してティアは苦い表情に変わる。



(・・・この人達を場に同居させたくはない・・・けれどここで頷かなかったら、本当にルークはタルタロスに乗らないなんて事になりかねない・・・ならもうここは彼らは仕方無いものとして妥協する以外にないわ・・・っ!)
「・・・分かったわ。彼らがそれでいいなら、その状況で話をするわ」
「・・・あぁ」
(やった!・・・これで何はともあれ、ルークとゆっくり話が出来るようになるわ・・・!)
そしてティアは本意でないとしつつも了承の返答をするとルークが小さく頷いた為、心の中で歓喜の声を上げた。これでうまくいくとばかりに。












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