前と違う結末への序曲

「四つのグループに分かれなければならないという状況ではありますが、最も重要なのはやはりタルタロスに乗るグループになります。それでまずはタルタロスに乗られる人員を選びたいと思いますが、導師達以外でタルタロスに乗りたいという方はいますか?」
「っ、私は乗るわ!」
「「「「っ・・・」」」」
ヒューバートがタルタロスの組の重要性を語り参加についてを一同に問い掛けると、すかさずティアがタイミングを逃すまいと我先に声を上げた事に一同の空気が少し張りつめる。



(ティアは引く気は無さそう、だよな・・・それを皆分かってるから、どうしようかとかどうするべきかって感じてるんだろうな・・・)
ルークはその空気の変化を確かに感じつつ、その理由が他ならないティアが発言したからと考える。
(・・・ティアが乗るなら、俺はタルタロスに乗らない方がいいかな。ローレライも地核にはいないし、他に何人か一緒にいれるにしてもタルタロスに5日もいるんじゃ話し掛けられた場合かわし続けるのは難しいだろうし・・・)
その上で自分がタルタロスに乗ることは止めておこうと除外しようとするルーク。



(後はここでルークをどうにかしてでもタルタロスに乗せるようにしないと・・・こんなことをすれば私がこの人達に屈したような事に見えてしまうけれど、それでもここでルークと話を出来るようにしなければ後に話が出来るような状況になるか分からないから・・・!)
だが一方でティアはここに来て、ようやくプライドを捨ててでも手を打とうと考えていた。ここを逃すわけには絶対にいかない、そう強い気持ちで。
「・・・では他に、誰かタルタロスに乗るという方は?」
「待って!・・・ルーク、お願い。貴方もタルタロスに乗ってもらえないかしら?」
「・・・はぁ?」
それでヒューバートはティアに触れずに他に意見を求めるが、そのティアが今までになく真摯でいて彼女にしては下手に出た声で願いを向けてきた事にルークは訳が分からないといった声を漏らす。
「・・・なんで俺がタルタロスに乗らなきゃいけないんだよ?つーか今まで散々お前俺に喧嘩腰っつーか、そうやって話をしては揉め事になるような感じになっただろ。んなことになるのは目に見えてんのに、わざわざ5日も一緒にいたくねーっつーの」
「そうだな・・・仮にルークが一緒に行くとして、それで迷惑を被るのはルークもだが一緒に行くとなったメンバーだ。今までの事を考えればどちらかはタルタロスに乗ることは良しとしても、どちらも乗るなどといった事は俺達としても歓迎出来る事ではないな」
それで今までの事を引き合いに出して顔を嫌そうに歪めるルークに、ウィルもまた揉め事を起こしたくないとばかりに険しい表情を浮かべる。
「(我慢よ、ティア・・・ここはどう思われようと、ルークと話を出来るようにしないといけないのよ・・・!)・・・今までの事だったらごめんなさい。それと約束するわ。タルタロスに乗っても迷惑も揉め事も起こさないと・・・」
「「「「っ・・・!?」」」」
だがここで本来なら怒り狂っていた筈のティアが必死に自制して頭を下げた事に、周りの面々の空気が一気に信じられないものを見るような驚愕の空気に変わった。



(・・・ティアが、こんな風に皆に向かって頭を下げるなんて・・・皆に対して申し訳無いと思うようになったのか、それともそこまでして俺と話したいのか・・・!?)
そして当人のルークは他の面々より驚きが大きい上で、その態度に言葉がどういった意味を持つのかを考える。どちらの意味合いなのか、と。











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