前と違う結末への序曲

「分かっていただけたのなら幸いですが、その為もしこれからも障気の押し込みを行うのであれば先に言った空を飛べる譜業のアルビオール・・・これを用いて地核から大地上に飛び立たねばタルタロスに残ったまま死ぬ以外の選択肢はありません。まぁ単純に考えるならアルビオールがあるならこれからも大丈夫なのではないかと思うかもしれませんが、これもまた単純な問題ではないのです」
「・・・どういうことですか?」
「懸念される問題事項は二つ・・・まず一つはそのアルビオールに使われている譜業機関が壊れてしまい、使えなくなればそれまでだということです。創世歴時代から今まで存在して今も尚使えるという事はいいのですが、現状ではまだ動きはしても以降にも絶対に壊れずに動くとは保証出来ませんし現存する物は二つだけとの事・・・同じ物を作れるだけの技術が今もあるなら別でしょうが、そうでない以上は飛行譜業があるならと頼りすぎるのも危険になります」
「成程、確かにその危険性は分かりますが・・・ではもう一つの問題事項とは何ですか?」
「・・・障気の押し込みをどのように進めるかを危機をどうにか避けることを最優先に考えるのではなく、政治の一つの手段として考え駆け引きとして用いることによりあえてアルビオールを使わせないといった状況が出来る事です」
「なっ!?どうしてそんなことを障気が蔓延している時に行うんですか!?」
それでダイクロフトを使うわけにはいかないと説明が終わりアルビオールを使用するにも難があると説明するヒューバートに、イオンは一つ目はまだしも二つ目の理由に驚愕して声を荒くする。そんな駆け引きなど行うべきではないだろうと言わんばかりに。
「そういった事態になり得ることが考えられる理由として、先程も言ったようにこれからの未来でずっと国と国の関係がいいものとして続くとは限らない事もありますが、もし戦争に使用しているのならおいそれとアルビオールが無くなるような事態になれば戦況は一変する可能性が高くなりますし・・・何よりこういった事を考える可能性が出てくるんです。敵側が下手に出てこちらに有利な条件を提示してくるまではアルビオールは使うと頷かない、障気障害の危険性も出てはくるが多少の時間なら体調に大きな影響は出ないからそれまで我慢すればいい・・・と言った、国の為の意地に打算を全面に出した考えが」
「っ!?・・・そんなことをされたら、苦しいのはその人達だけではなく全世界の人達もじゃないですか・・・」
「はい。ですがそういった者達は自分達が大丈夫ならどうにでもなるといった考えを持って、自国民から早く解決してほしいといった声が上がっても望み通りの返答が返ってくるかギリギリまでその考えを貫くでしょう・・・今まで何度も成功させてきたこと、なら多少の無茶くらいはどうとでもなると。ですがそういった慢心に身を切るような駆け引きにより、障気の押し込みに失敗したならそれで全てが終わりです・・・これはあくまで一例の話ではありますが、それでもこれは全く起きえない事ではないというのは導師も今の話で理解されたはずです」
「はい・・・ですがそうだと言うなら、どうすればいいんですか?今回は万全の状態の上で邪魔も入らないから大丈夫だとは思いますが、それ以降の事は・・・」
「・・・それに関してですが、一つ確かな解決方法があります。それは」



「プラネットストームを止めることです」



「っ!?」
・・・更にいかに危険な状況になりかねないかを例を上げて話していくヒューバートは、焦りを浮かべ解決法を聞いてくるイオンに核心を告げた。プラネットストームを止める事がその解決法だと。













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