前と違う結末への序曲

・・・そしてスピノザ達をベルケンドからシェリダンに連れていったのだが、そこでい組とめ組のぶつかり合いこそあったがそんなことをするような時ではないということと、ナタリアの仲裁もあったことで協力しあうという話となった。

それでしばらく時間は必要と言われやることはないと言われたナタリアは早速とばかりにアッシュの元に向かい・・・その様子を見たユーリ達は様々な感情を含んだ目を向け、残っていたメンバーに何があったのかと聞かれることとなった。




















・・・それで数日後、シェリダンでの研究が一段落したという事で一同はシェリダンに集められる事になった。



「さて、皆さん・・・久しぶりに集まることになりましたが、挨拶はそこそこにして本題に入らせていただきます。まずここに集まっていただいたことから分かるよう、このシェリダンでの研究が一段落しました。それでどうすれば障気を抑えられるかに関してですが、研究の結果として話にあった通りタルタロスを使うことになりました」
「それはいいんですが、具体的にはどうするんですか?」
「簡単に言うならい組とめ組の方々が造られた装置を積んだタルタロスに乗り、アクゼリュスの跡地とも呼べる場所から地核の方へと降り立つ事になります」
「えっ・・・!?」
「障気と言うのは簡潔に言うならプラネットストームにより循環している第七音素が年月を経るごとに地核を削るようにして歪みを招き、段々と綺麗な第七音素だけでなく周りの地に影響されて障気へと変貌していったもの・・・例えるなら年月をかけて造った人工の河は最初こそは清流ではあったが、無理に造った河だからその水流は周りの泥土を次第に浸食して削っていき、泥土混じりの清流のみの河と呼べない河となったようなものなのです。プラネットストームの状況というのは」
「っ!・・・そんなものを、タルタロスでどうにか出来るんですか・・・?」
・・・全員が集まった集会所にて、ヒューバートが前に出て説明を始める。そんな中でイオンが詳しく話を聞きたいと質問を向け、ヒューバートの例えも入った返しに愕然としかけながらも大丈夫なのかと問い返す。とてもそんなこと出来ないのではないかと言った様子で。
「はい、例えに出したのは河ですが障気をどうにかすることに関しては大丈夫です。タルタロスを用いて障気を抑え込むことは十分に可能ではあります・・・ただそうやって障気を抑え込める期間はそう長くはありません。何も無ければ十数年、長く見積もっても五十年と言った時間は持たない・・・そう見た方がいいでしょう」
「十数年、ですか・・・それだけしか持たないんですか、本当に・・・?」
「はい。タルタロスも物である以上劣化を起こすのは当然ですし、障気を抑え込むための機能を十全に発揮し続けるだけの耐久力を考えればむしろ上々の成果ですが・・・そこを越えてしまえば、もうどうにもなりません。いえ、壊れたのならまた同じように対処をすればいいと考えるような事をすると選択したならよりどうしようもなくなります。二組の話では装置を造るのにもう造られてない部品をタルタロスから用いることでどうにかすることが出来たと言われたのもありますが、同じような事をして同じような成果を毎回出せるようなことは今後期待出来ません・・・このようなことを言うのはどうかと承知して言いますが、最大の問題となるのは禁書に最も精通しているい組とめ組の二組がその時にご存命であるかどうかです」
「っ!・・・それは、確かに問題ですね・・・」
「はい。現在でも高齢と呼べる年齢である6人がそう何十年も生きられるとはとても思えません」
それは可能とヒューバートは返しつつも別の問題としてタルタロスの耐久性に加え、い組とめ組が生きていられるかという問題を上げたことにイオンは冷や汗を浮かべる。今後を左右しかねない重要人物の命はそう長くはないという事実に。










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