前と違う結末への序曲

「んで・・・肝心のナタリアの反応を見て、お前の望んだ通りの選択をすると思うか?アニー」
「その辺りはルークさんとアッシュさんの決着から話が進んだなら、ナタリアさんの決心はつくと思います。余程の何かが無ければルークさんが負ける展開は考えられませんが、ナタリアさんはそれでもアッシュならルークに勝てる・・・そう、どこかで信じたい気持ちを持ってると私は見ています」
「それもアッシュの事が好きだから、アッシュの敗北を考えたくないって事か・・・例えアッシュが負けることがナタリアと一緒にいる為に必要だと言われても、そんな姿は出来ることなら見たくないと・・・」
「好きだからこそ、そう信じたいという気持ちは分からなくもありません・・・けれどだからこそナタリアさんは色々考えこそするでしょうが、最終的に決まったことに対してどう動くかを決めると思います。出来るだけギリギリ、それも自分が出来るだけどうにか二人に対して印象が悪くないようにと言った風に振る舞う形で」
「・・・何かそう聞くと、ナタリアが悪い女というか都合のいい女にしか思えないな。特に普段の態度が態度だけに尚更にそう感じてしまうわ」
「うん・・・こういうことはあまり言いたくないけど、ナタリアの強気の態度が影も形もない所と今の話だとどうもね・・・」
ユーリはそこでナタリアの出す結論についてを聞くがギリギリまでハッキリしないだろうと言い切るアニーに、クレスも含めて悩ましげに表情を歪める。ナタリアの評価が今では前と比べるまでもなくアドリビトムのメンバー内で低いとは言え、それでも男の口から女という存在に対して色々と言いにくい物であった為に。
「いいんです。ナタリアさんにそういった行動が見受けられるのは事実ですし、悪女と言えるような性質の人じゃなくてあくまで天然でそうなったのも分かってはいますが・・・そんな自分に都合が良くて傷付かない物にルークさんを巻き込んで、それでルークさんが一番傷付いて困難な立場に身を置くことになるなんて・・・私は認められません、仲間としても一女性としても・・・!」
「「っ・・・」」
だが肝心のアニーが別にいいと言うと共に口にした敵意とは似てはいるが、どこか違う明確な否定の念が込められた言葉に二人は軽く圧されたように口をつぐんだ。アニーの芯の強さを知る二人だが、今までに見せたことのない姿にその念がどういう物なのかと感じた為に・・・









・・・それでそこからはナタリアがいつ気持ちを落ち着けて出てくるか分からないという事をアニーが口にした為、二人もそこでナタリアについての話を止めてゆっくりと待つことにした。

ただそこからナタリアが気を落ち着けて宿から出てきたのは一時間以上も後の事で、顔色はどう見ても良くないと言わざるを得ないような状況だった。

だがそれでもう一度休憩をと言った事を言いはした三人だったが、気丈に振る舞おうとするナタリアの声で技術者達にもう会いに行こうと言われて三人はならとそれ以上は止めるような事を言うことなくベルケンドの奥に向かった・・・止めても自分は大丈夫、時間をかけるわけにはいかないとやせ我慢が見え見えな答えが返ってくると分かった為に。

そしてスピノザ達に会って話を通したユーリ達はナタリアの事もあるが、そういうことなら協力しないわけにはいかないとすぐに了承を返してくれた。尚、その際にスピノザがヴァン達についてを念入りに聞いてはきたが今となってはスピノザの事を警戒する理由はもうない・・・ということで三人はスピノザについては放置するという結論で落ち着いた。









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