「・・・さて、アニー・・・さっきは何であんなことを言ったのか、聞かせてくれないか？」
「そうだな。俺もらしくないことを言った事に対して疑問を持ってた所だから、是非とも聞かせてもらいたいもんだ」
それでクレスは改めてアニーへと先程の様子についてを早速と聞いてきて、ユーリもそれに乗っかるように声をかける。
「・・・本来の私だったら確かにあんな事は言わなかったと思います。ですが今ナタリアさんに言わなければ、私達の世界のナタリアさんのような事になりかねないと思ったからあぁ言ったんです・・・アドリビトムにいる間、結局は二人の事で何もしないまま終わったようなあの状況のように」
「あぁ・・・まぁ確かに思い返してみりゃ確かにルークとアッシュの関係についちゃ、あのお姫様は普段の態度と違って何も口出ししてなかったも同然だったな」
「その後は皆故郷に帰ったりしてルークの報せを聞いて集まったけど、ルークが内緒でライマを出るって決めてたのもあって関係は変わってなかったんだろうな・・・それもアニーが言うように、ナタリアは何もしない形で・・・」
アニーは意を決したようルミナシアのナタリアが二人の関係について何もしなかった事についてを切り出していき、ユーリもクレスもその事を思い出した上で推測する。結局ナタリアは二人の事で何もしてないのだと。
「はい。おそらくナタリアさんは何も言わなかったのなら、近くなった二人の決着と出た結論について文句を言わない・・・いえ、言えない立場にあるでしょう。もし言うとしたならアッシュさんが離れる結末の時くらいだと思いますが、今のルークさんがそうするとは思えませんしアッシュさんに負けるなんてまず有り得ません」
「まぁそりゃな。いくらその時まであがいたってルークのレベルにまで劇的にアッシュが強くなるなんてまず有り得ねぇ。普通に考えりゃルークの勝ちは揺るがず、後はアッシュをどうやってコントロールしてうまく話を進めるか・・・が焦点ってヤツになるだろうしな」
「でもそれであんな言い方をしてナタリアの事を言うような必要があったのかい？そこまでは必要なかったんじゃないのかな？」
「ルークさんがナタリアさんに対して異性として見てないって事ですね・・・あれはどう言うべきか私も悩むんですが、強いて言うならルミナシアのナタリアさんにも共通してルークさんに対して保険をかけていると思ったから、それをどうにかしなければナタリアさんは決断が出来ないと思ったからです」
「保険？」
それで話をアッシュとの決着に関して述べればユーリもルークの絶対勝利は揺るがないと同意するが、クレスの異性関連の発言についての疑問にアニーは保険をどうにかしたかったからと答える。
「言ってみればナタリアさんの二人に対する態度の根底にあるのは、二人の内どちらにも嫌われたくないといった考えがあるからだと思います。これに関しては私も理解は出来ます。好き好んで誰かに嫌われたくはないですから・・・でもナタリアさんに関しては自覚はしてないと思いますが人間的に嫌われたくないという気持ちだけではなく、ルークさんに女性として嫌われたくないというか意識されたい・・・そう言った気持ちがあるように思えたんです。これに関しては少なくともルミナシアのナタリアさんには当てはまっているとユーリさん達も感じているはずです」
「・・・成程な。ルミナシアのナタリアはルークと婚約って立場にあった。そこから考えりゃアッシュと想いあうことにかまけてるだけじゃなく、本来の婚約相手はルークだってことに変わりはない・・・だから女として見られておきたいし、そう意識させたいって気持ちがナタリアには少なからずあったって事か」
「ただそれはナタリアの事だから、強く自覚してないことってことか・・・何かそう聞くと、ナタリアがその事を自覚してたらまた違った結果になったんだろうな・・・」
「はい、私もそう思います。そしてそれこそが私の思う保険なんです」
そしてその保険は嫌われたくないが為と二重の意味があると答えるアニーに、ユーリとクレスも理解する。ナタリアは自覚なしにルークに対して、そうしているのだと。










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