前と違う結末への序曲

「・・・ま、一人にしたくないってのは分かった。だがそこからだ・・・あんたは結局、どうしたいんだ?」
「えっ・・・ど、どうしたいとは・・・?」
「アッシュを一人にしたくないとそう思ってるのは分かったが、この今の旅もそろそろ終わりが近いってのは何となくあんたも感じてんだろ。それでそうなりゃ、必然的にルークとアッシュ・・・あの二人の関係に関しても決着を着ける時も近くなる」
「っ・・・!」
ユーリはその姿にらしさを残しながらも丁寧に話を続けるが、その中身にナタリアはグッと息を詰まらせる・・・ナタリアもうっすらとルークとアッシュが激突することになるとくらいは感じていたことを見せてしまう形で。
「その時にあんたはどっちにも仲良くなってほしい、なんて思うのは別に構いはしない・・・だけど今のあのアッシュの姿を見て、どこをどう引っくり返したらそうなるかなんて仮に考えたとしても想像が少しでも出来るか?」
「・・・それは・・・」
「意地が悪い言い方だってのは十分に承知してる。だがあんたは選ばなきゃならない立場にいるんだよ・・・アッシュと一緒にいたいってんならあんたが身を粉にしてルークとの仲を是が非でも取り持つか、それかいっそルークを突き放すかを選ぶ立場にな」
「なっ!?なんで、そんな・・・!?」
それでルークとアッシュの状態に関してを口にした上でユーリは選択肢を提示するが、ナタリアは驚愕により絶句する。片方のそれを選んだならナタリアが冷酷と取られるだろうその選択肢を受けて。
「この旅の間、あんたは時間がありゃアッシュと一緒にいた。それはアッシュからしても同じだろうが、そこでもしアッシュはキムラスカから離れてルークが残るからルークと心残りを残さず結婚しろ・・・なんて言われて、今のあんたがはい分かりましたなんて心の底から言えるはずがないのは分かるだろ」
「っ・・・」
「否定をしたいが否定出来ない、今の様子はそう言った感じだよな?それはあんたがアッシュに対して、想いが強いから言えることだが・・・ハッキリ言ってしまえば、あんたはルークに対してアッシュと同等の好意なんて抱けないってのが事実だろ。精々友情が関の山って所だろ、どう見たって・・・今この場には俺達しかいないから正直に答えてくれ。そこんとこどうだ?」
「・・・・・・はい、貴方の言う通りです・・・アッシュを愛することは出来たとしても、ルークをアッシュと同じように愛せるかと言われたら・・・否定しか返せません・・・」
・・・ここに来て、ルミナシアのナタリアが口にしなかった本当の気持ちをナタリアは口にした。自分達だけしかいないと、その言葉を受けて重い気持ちを楽にする意味合いを多大に含ませ吐露する形で。
ユーリの比較及び想いの在り方について問われ、ナタリアが観念したようにうなだれ口にした事に瞬時に三人は視線を合わせ一瞬だけ軽く頷きあう。
「だからだ・・・あんたからすりゃ想いに差はあってもどっちも大切だったり切り捨てたくないって気持ちはあるんだろう。だがそれでどっちの事も刺激しないように様子を見て、結果何もせず悲しむだけ・・・なんてことをするのは、無責任としか言いようがないぞ。それであんたが悲しんだって何も変わる訳じゃないどころか、あんたがそんな光景を何もせずに見逃せば見逃すほど後悔に悲しみは積もっていくばかりになるだけだろうしな」
「だからっ・・・先の二つのどちらかを選べと言うのですか・・・!?」
「あぁ、そうだ」
そしてすぐにユーリは淡々としつつもナタリアへと話を続けていき、選びたくないと言わんばかりの涙声を上げている姿に即答で肯定する。









7/22ページ
スキ